研究課題/領域番号 |
25460675
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清宮 正徳 千葉大学, 医学部附属病院, 副臨床検査技師長 (20554265)
|
研究分担者 |
野村 文夫 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80164739)
松下 一之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90344994)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | Clathrin heavy chain / 原発性肝細胞癌 / 食道癌 |
研究実績の概要 |
全身の細胞表面に存在し、細胞のエンドサイトーシスの主役を務める蛋白質、Clathrin heavy chain(以下CHC)については、これまでの我々の研究で、多くの種類の癌の組織中で強く発現していることが確認されている。特に原発性肝細胞癌や食道上皮内腫瘍において、病理組織診断における腫瘍の良・悪性の鑑別に有用であることが判明している。そして、他の上部消化管(咽頭、口頭、舌など)腫瘍の病理組織診断の良・悪性の鑑別においても組織診断マーカーとして有用である可能性がある。 さらに血清中抗CHC抗体量は、健常人および肝硬変患者に比べ、原発性肝細胞癌患者で明らかな高値傾向を示し、あらたな腫瘍マーカーとなる可能性が示唆されていた。しかし、ELISA構築のためのCHC蛋白(ウシ脳から抽出・精製されたCHCの全長鎖蛋白)が供給停止となったため、新たな抗原を用いたELISA法を開発する必要が生じた。 CHCは分子量190kDaと長大で全蛋白を合成するのは不可能である。そこで、CHCの2次構造の予測、親水領域の同定による表面露出の推定、極性などから、生体内での自己抗体生成における抗原推定部分を想定した。そして、このような推定部分12箇所について、15-17Daのペプチドを合成した。これらのペプチド12種および市販のCHCペプチド1種を抗原とし、健常人血清および原発性肝細胞癌患者血清各5例を試料としたドットブロットを行い、ELISA法構築のための組み合わせを検討した。今後は、本混合ペプチドを用いたELISA法により原発性肝細胞癌患者血清中の抗CHC抗体を測定し、腫瘍マーカー検査法としての性能を評価する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CHCの上部消化管腫瘍の組織については、手配を進めている段階である。 CHCの腫瘍マーカーとしての性能試験については、ELISA構築のためのCHC蛋白(ウシ脳から抽出・精製されたCHCの全長鎖蛋白)が供給停止となったため、新たな抗原を用いたELISA法を開発する必要が生じた。CHCは分子量190kDaと長大で全蛋白を合成するのは不可能であることから、CHCの2次構造の予測、親水領域の同定による表面露出の推定、極性などから、生体内での自己抗体生成における抗原推定部分を想定し。そして、このような推定部分12箇所について、15-17Daのペプチドを合成した。これらを用いてELISAの再構築のための基礎的検討を行う必要が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
上部消化管(咽頭、口頭、舌など)腫瘍の病理組織診断の良・悪性の鑑別における有用性を実施する。当院で外科的に摘出された上部消化管腫瘍のパラフィン切片について、CHCの免疫組織化学染色を行う。また、市販のtissue micro arrayを入手し、多数症例における癌部・非癌部の染色性を確認する。 血清中抗CHC抗体測定では、各種ぺプチドと原発性肝細胞癌患者血清の反応性の比較検討において、良好な反応性を示したペプチドを選択し、ELISAの構築を行う。その後、健常人および各種癌患者血清中の抗CHC抗体含有量を比較し、腫瘍マーカーとしての性能を評価する。また、ELISA法の、試薬性能の評価も行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品の値引きによる
|
次年度使用額の使用計画 |
消耗品の購入にあてる予定
|