研究課題/領域番号 |
25460679
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 弘康 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80373075)
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研究分担者 |
清島 満 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10171315)
白上 洋平 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50632816)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | NKT細胞 / 癌転移 / 癌進展 / 一酸化窒素 / インドールアミン酸素添加酵素 |
研究実績の概要 |
癌による死亡原因として、癌の持つ浸潤能や遠隔転移能が重要なものとして挙げられる。本研究では、NKT細胞の活性化と免疫抑制因子(一酸化窒素やインドールアミン酸素添加酵素)の発現制御を用いて、転移性腫瘍および原発性腫瘍に対するより効果的な治療法の開発を目指す。 本年度は、以下に示す研究成果を得た。 昨年度までは、主にマウス肺転移モデルを用いて解析を行ってきた。本年度は、腫瘍細胞の皮下接種による原発腫瘍モデルを作製し検討した。マウス悪性リンパ腫細胞株であるEG7細胞をワイルドタイプマウス、一酸化窒素合成酵素(iNOS)ノックアウトマウス、インドールアミン酸素添加酵素(IDO)ノックアウトマウスに皮下接種し、担癌マウスモデルを作製した。腫瘍接種後、7日から10日目にalpha-galactosylceramide(GalCer)を腹腔内投与し、その後経時的に腫瘍径を測定した。ワイルドタイプマウスにGalCerを投与しても、ほとんど腫瘍の増大は抑制できなかったが、iNOSノックアウトマウスおよびIDOノックアウトマウスに対してGalCerを投与すると、明らかに腫瘍径の増大が抑制された。また、担癌状態のiNOSノックアウトマウスにて腫瘍所属リンパ節からリンパ球を単離して、腫瘍抗原特異的な免疫反応の検討を行った。EG7細胞は、卵白アルブミン(OVA)を発現しており、OVAペプチドによるIFN-γ産生をELISPOTアッセイにて行った。iNOSノックアウトマウスにGalCerを投与した群では明らかにELISPOTにてスポットの増加がみられた。また、腫瘍特異的細胞傷害能もiNOSノックアウトマウスにGalCerを投与した群で増強した。これらの結果より、iNOSノックアウトマウスにGalCerを投与することで、腫瘍抗原特異的なTh1免疫応答が増強し、腫瘍の増大を抑制している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り本年度は、ELIPOTアッセイや細胞障害試験を行うことにより、IDOおよびiNOSノックアウトマウスでのGalCerの抗腫瘍効果増強のメカニズムの一部が解明できた。したがって、当初の予定通り研究が進んだと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、iNOSノックアウトマウスでのGalCerの抗腫瘍効果増強のメカニズムが解明できた。来年度は、IDOノックアウトマウスでのGalCerの抗腫瘍効果増強のメカニズム解明に本年と同様な手法を主に用いて進めていく。さらに、iNOSやIDOの阻害剤を用いることでもGalCerの抗腫瘍効果増強が認められるがそのメカニズムについても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りに使用できたと考えるが、IDOノックアウトマウスの検討が十分できていなかったのが原因かもしれない。
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次年度使用額の使用計画 |
IDOノックアウトマウスでの解析のため、その一部に使用する予定である。
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