研究課題/領域番号 |
25460681
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川村 久美子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30335054)
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研究分担者 |
八木 哲也 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70333573)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グラム陰性桿菌 / β-ラクタマーゼ / 複数酵素同時産生菌 / 新規検出法 / β-ラクタマーゼ産生性の確認 / β-ラクタマーゼのクラス分類 |
研究実績の概要 |
【背景】β-ラクタマーゼ産生グラム陰性桿菌の増加, 特にNDM-1型メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌に代表される複数酵素同時産生菌の増加が臨床現場に大きな混乱をもたらすとともに検査室の業務に多大な負担を強いている. 【研究目的】日常検査業務におけるβ-ラクタマーゼ産生グラム陰性桿菌検出の効率化のために, β-ラクタマーゼの検出とクラス分類を同時に判定できる迅速簡易検出法「Penta-well法」を構築し, その有用性を評価する. 【研究内容】(1) 1回の測定でβ-ラクタマーゼの産生性の確認とクラス分類を可能とする「Penta-well法」の構築, (2) 検査精度, コストパフォーマンスおよび省力化の面から臨床的有用性の評価を行なう. 【意義および重要性】発色反応を用いることにより検査精度を格段に向上させたこと, さらに臨床現場に普及している自動検査機器(比色判定)への応用を可能にしたところが本研究の独創的な点である. 本研究による「Penta-well法」の確立は、病院検査室の日常業務におけるβ-ラクタマーゼ産生菌検出の迅速化と精度向上ならびに病院感染対策の効率化に大きく貢献できると考える. 【研究成果】昨年度設定した最適条件に基づき, 判定基準となるcut off値の設定を行なった. その結果, β-ラクタマーゼ検出系は, 0.48, class A, B, C検出用系は 0.09, 0.4, 0.55となった. このcut off値における同時および日差再現性は0.94-1.83%, 3.44-6.96%と良好であった.107株を用いたときの本法の感度と特異度は, class Aが93.4%, 68.8%、class Bが96.8%, 100%、class Cが85.7%, 100%であった. さらに複数酵素同時産生菌23株のうち21株(91.3%)を正確に検出,分類した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度の研究計画として挙げた課題 (1) 単独酵素および複数酵素産生菌を用いたcut off値の設定, (2) 設定したcut off値を用いての同時再現性および日差再現性の検討, (3) 単独酵素および複数酵素産生菌を用いた感度および特異度の検討, (4) 「検査精度, コストパフォーマンスおよび省力化の面からの臨床的有用性の評価」に向けての準備, の4課題のうち 課題3までを終了した. 課題4 「検査精度, コストパフォーマンスおよび省力化の面からの臨床的有用性の評価」に向けての準備については, 名古屋大学医学部附属病院において, 過去3年間に検出されたβ-ラクタマーゼ産生菌の分与を得て, PCRおよびシークエンスによる遺伝子型の同定は終了している. また, 次年度これら菌株をもちいて行なう 表現型試験とPenta well法との比較検討の準備のため, 今年度は表現型試験としてModified Hodge Testの検討も行なった. Modified Hodge Testには指標抗菌薬として, カルバペネム系抗菌薬を使用するが, 抗菌薬の種類により感度と特異度が異なることが報告されている. Penta well法をより高感度な検出法にするため, 本研究で比較対照に用いる表現型試験(Modified Hodge Test)の使用抗菌薬の検討を行ない, エルタペネムが最も高感度であることを確認した(本研究成果を学会および論文に発表した). これらの成果を踏まえ, 次年度は表現型試験とPenta well法との比較検討をすぐに始めることができる状況にある. これらの理由から, 研究全体は概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
課題については, 複数酵素産生菌の菌株数を増やし, 引き続き 感度および特異度の検討を行なうとともに, 課題4 「検査精度, コストパフォーマンスおよび省力化の面からの臨床的有用性の評価」に取り組む. 具体的には, 検討に使用するβ-ラクタマーゼ産生菌(名古屋大学医学部附属病院での分離株)の遺伝子型別は終了しているので, それらを用いて表現型試験とPenta well法の正確性の比較を行なう. 現行の表現型試験としては, combined-disk test (CDT) , double-disk synergy test (DDST)および Modified Hodge Testを実施し, Penta well法とどちらが正確に検出できるかを検討する. 特に, 現在 臨床現場で問題となっている複数酵素同時産生菌について, 先の検討で使用した複数酵素同時産生菌23株では, Penta well法は91.3%と高い検出率と分類能を示したが, 追加菌株についても誤判定が生じないか, 起きる場合にはそのような組み合わせで生じるかなどについて検討し, 必要であれば改良を加える. また、年度の早い時期に, 課題3までの研究成果を論文にし投稿することを予定している. 課題4のコストパフォーマンスおよび省力化の面からの有用性評価においては, 現行の表現型試験とPenta well法の各々の試験に要した試薬代や検査時間を比較し, 日常検査の省力化への貢献度を検討する予定である.
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