研究実績の概要 |
【目的】日常検査業務におけるβ-ラクタマーゼ産生グラム陰性桿菌検出の効率化を目指し, 新規検出法「Penta well法」を確立するとともに, その有用性を評価する. 【研究成果】(1)Penta-well法の評価:昨年度よりも菌株を増やし, class A, B, C検出用wellのcut off値を再度設定した結果, class Bは0.4, class Cは0.55と同じになったが, class Aでは ESBL産生菌およびKPC産生菌を対象とした場合には0.25, TEM-1保有株も含めた場合には0.09となることが確認された. 次に β-lactamase 産生株および非産生株の計116株を用いてPenta-well法の感度(Se)と特異度(Sp)を調べた結果, class AはSe 96.3%, Sp 97.1% (cut off値 0.25), Se 93.4%, Sp 68.8% (cut off値 0.09), class BはSe 97.4%, Sp 100%、class CはSe 85.7%, Sp 100%となった. 複数酵素同時産生株23株中, 21株(91.3%)のβ-lactamaseは正確にクラス分類することができたが, 複数酵素産生菌であるNDM-1産生株は偽陰性になった. (2)臨床的有用性の評価:従来の表現型試験には判定者の経験や主観が判定を左右するという弱点があったが, Penta-well法は吸光度測定とcut-off値設定によりその弱点を解決した. 本検出法は, β-lactamase 産生性と3つのクラス分類を同時に行なうことから, コストパフォーマンスおよび省力化の面からも有用性が高いことを確認した. また, 将来 WalkerWayなど自動分析機へ応用することも可能であり, より有用な日常検査になり得るものと考える.
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