研究課題
WT1遺伝子は白血病や固形がんにおいて高発現し、癌遺伝子様機能を果たすことでがんの発症および進展に深く関わる。しかしWT1の発現制御機構は十分に明らかにされていなかった。本研究ではWT1に直接結合し発現を抑制するmiRNAとしてmiR-125aを同定し、miR-125a欠損マウスを作成した。miR-125a欠損マウスはWT1を高発現し、骨髄系細胞の増殖を特徴とする骨髄増殖性疾患(MPD)を発症した。さらにmiR-125aホモ欠損マウスにおけるMPDの発症率および重症度が、miR-125aヘテロ欠損マウスに比較して低いことが明らかになり、miRNAアレイ解析によってMPDを発症していないmiR-125aホモ欠損マウスの骨髄造血幹前駆細胞では代償性にmiR-486が誘導されていることを明らかにした。さらにmiR-486はmiR-125aに代わってWT1の発現を抑制し、MPD発症を抑制しうることを示した。次に、WT1を標的とするmiR-125aが果たすがん抑制機能の分子機序の理解を深めるべく、miR-125a の新規標的遺伝子の同定を試みた。miR-125a欠損マウス造血幹細胞の遺伝子発現プロファイル解析およびmiRNA標的予測データベースを用い、miR-125aの新規標的遺伝子としてZbtb7aを同定した。Zbtb7aの発現抑制は、肺癌細胞のG1期における細胞周期停止およびアポトーシスを誘導し、miR-125a導入時と同様の細胞増殖抑制効果を示した。さらに非小細胞肺癌患者癌部において、miR-125aとZbtb7aの発現が有意に逆相関することを示した。これらの結果は、miR-125aはWT1およびZbtb7aの発現調節を介してがんの発症・進展に関与している可能性を示している。
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