研究課題
これまで得られた婦人科腫瘍患者の血清中TFPI2濃度測定値(イムノアッセイデータ)と組織検体中のTFPI2発現量(ウエスタンブロットおよびリアルタイムPCRデータ)に関して、元データに戻って再解析し、血清中TFPI2量と卵巣明細胞癌(OCCC)との関連性を再検証した。特に、原理の異なる測定系を用いてカットオフ値の再検証することで、血清TFPI2測定の臨床的有用性を評価した。国内医療機関の後向き保管検体(268症例)における血清中TFPI2濃度の測定値は、OCCC患者(29例)の血清中TFPI2濃度(中央値 [四分位偏差]:781.8 [381.4-1410] pg/mL)は、他の組織型の卵巣癌患者(79例, TFPI2濃度 208.5 [137.7-307.3] pg/mL)や子宮内膜症患者(71例 137.7 [104.0-191.0] pg/mL)に比べて明らかに高く、それはOCCC患者の臨床病気の進行に伴って有意に上昇すること、そしてイムノアッセイにより算出されるTFPI2値は、質量分析計を用いた解析により妥当性を認めた。さらに組織検体を用いた解析により、血清中TFPI2量は腫瘍組織中のTFPI2遺伝子発現量と相関することが確認できた。Youden Indexが最大となる血清TFPI2値をカットオフ値に設定すると、OCCCと他の組織型卵巣癌を識別する能力は、感度79%、特異度85%、正診率90%であり、子宮内膜症との識別能力は、感度83%、特異度93%、正診率90%であった。このカットオフ値を用いて、前向き収集された156例の検体を用いて検証したところ、同様の結果が得られ、さらに血清TFPI2値は患者の年齢や月経周期とは明瞭な相関が認められなかったことから、TFPI2測定は、卵巣癌疑いの患者がOCCCであるか否かを診断するために有用である可能性が示された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Plos One.
巻: 11(10) ページ: e0165609
10.1371/journal.pone.0165609