研究課題/領域番号 |
25460699
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐藤 恵理子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60398675)
|
研究分担者 |
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (50186798)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 慢性骨髄性白血病 / 病態モニタリング技術 / BCR/ABL融合点 |
研究概要 |
本研究課題では,ゲノムDNAからBCR配列をもつDNA断片のみを濃縮し,これを次世代シークエンサーによって網羅的に解析することで,従来の手法では不可能であったCMLの再発を予測可能なレベルまでBCR/ABL遺伝子量を定量可能な,新規モニタリング技術を開発することを目的とする。25年度はゲノムDNAからBCRの配列をもつDNA断片を特異的に濃縮する技術を確立することを目標とし,検討を行った。 まず,CML由来の細胞株(K562, TCC-S, KCL-22)よりゲノムDNAを抽出した。抽出したDNAを鋳型とし,BCR遺伝子のM-bcr領域(BCRエクソン12から15,およそ5 kbp)をPCRにより増幅した。電気泳動により目的のサイズにバンドがあることを確認した後,これを切り出して精製し,BCR配列濃縮用のプローブを作製するため,エンドヌクレアーゼによる酵素処理によってPCR産物を100~300 bpに断片化するための条件の最適化を行った。その後,決定された条件のもと,BCR配列を持つDNA断片を大量に獲得し,3'末端をビオチン化することで濃縮用プローブを作製した。 続いて,上記の3株の細胞ペレットを15%ホルマリンにて固定化し,パラフィン包埋法にてセルブロック化した。作製したブロックよりミクロトームを用いて薄片を切り出した。このとき,薄片の枚数,厚みを様々に変化させ,プローブに供試するに十分な量のゲノムDNAが得られる枚数・厚みを決定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度はゲノムDNAからBCRの配列をもつDNA断片を特異的に濃縮する技術を確立することを目標とした。本年度においてプローブの作製とパラフィン包埋サンプルからのゲノムDNAの抽出法を確定させることはできたが,プローブとゲノムDNAのハイブリダイズとそれに続く溶出の条件最適化には至らず,次年度へ検討を持ち越すこととなってしまった。しかしながら,この遅延は微々たるものであり,次年度にて取り返せるものと判断し,「(3)やや遅れている」との評価とした。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度において,細胞株(K562, KCL-22, TCC-S)のパラフィン包埋サンプルからのDNA抽出法の最適化,プローブ作製に関する最適化を終えたので,26年度において,プローブにより回収されたDNAが, BCRの配列を持つもののみであることを確認するため, 以下の要領によりPCRによる増幅を試みる。 これまでの検討により,K562, KCL-22, TCC-S株のBCR/ABL breakpointは明らかとなっている。そこで,回収されたDNAを鋳型として,BCR/ABL融合点近傍をPCRにより増幅できるか確認する。また,9番,22番いずれの染色体上にも存在しないRNasePをネガティブコントロールとし,これが回収されたDNAからは増幅されないことを確認する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
25年度の実験進捗の遅延のため,差額が発生してしまった。しかしながら,この遅延は次年度にて修正できるレベルであるため,差額を次年度への繰り越しとした。 当初の計画通り,プローブとゲノムDNAとのハイブリダイズ条件,およびプローブと結合したゲノムDNAの溶出条件の最適化のため,繰越金を使用する。その他の予算についても,計画通りに使用する。
|