研究課題/領域番号 |
25460704
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (60206810)
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研究分担者 |
高橋 聡子 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (30301592)
松尾 雅斗 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (30190416)
浜田 信城 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20247315)
李 昌一 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (60220795)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 糖尿病性血管障害 / 歯肉微小循環 / 非侵襲的評価法 / 反応性充血 / 血管内皮細胞 / 歯周病 |
研究実績の概要 |
近年,患者数が増加している糖尿病は合併症として血管障害を起こすことが知られている。この合併症は末梢の微小血管の肥厚や硬化を生じ,動脈硬化や脳・心筋梗塞を引き起こす。合併症が生じる網膜,腎臓と同様に,歯肉も微小血管で構成されている。このため,糖尿病により影響を受ける歯周病も合併症として知られおり,糖尿病は歯周病のリスク因子であるにもかかわらず,糖尿病による微小血管の機能障害機構のメカニズムの解明されていない。本研究は糖尿病性血管障害に焦点を絞り,口腔の血管反応を測定系として「歯肉微小血管と糖尿病性血管障害との関連性メカニズムの解明」を目的とし,臨床応用の基盤となる科学的エビデンスに基づく非侵襲的血管評価法の確立を目指し計画された。 本年度は,糖尿病性血管障害に関し,レーザードップラー血流計により歯肉血流量を測定し,下記の結果を得た。 1) 糖尿病による歯肉微小循環に対する影響 血流測定用プローブでラット歯肉を1分間圧迫,解放後の血流変化を測定し,歯肉反応性充血による血管弾性を評価した。その結果,正常ラットに対し糖尿病モデルラット (GK)の歯肉微小血管機能は病態の進行に伴い,血管内皮,平滑筋機能の経日的な低下が認められた。 2) 歯周病菌感染による歯肉微小循環に対する影響 GKと正常ラットに歯周病菌であるPorphyromonas gingivalis (Pg)を感染させ,1) と同様レーザードップラー法を用いてPg感染による歯肉微小循環への影響を解析した。その結果,Pg感染により,正常ラット,GKともに歯肉微小血管機能が低下したが,この機能低下はGKでより顕著に認められた。これら1),2) より,糖尿病性血管障害は歯肉微小血管機能に影響与えることが示され,歯肉微小血管機能の変化が,糖尿病による末梢血管障害の一指標となる可能性が示唆された。
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