研究課題/領域番号 |
25460706
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
寺平 良治 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (80087668)
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研究分担者 |
大橋 鉱二 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (60278281)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝 / miR-122 / バイオマーカー / 臨床検査 / 血清miRNA |
研究概要 |
1)非アルコール性脂肪肝(NAFLD)モデル動物の作成 前段階の研究において、ヒト対象の横断的研究で非アルコール性脂肪肝の程度と血清microRNA(miR)との間に関連が見られたことから、この研究においては疾患の発症過程での血清miRの変動を経時的に捉えるため、最初に疾患モデル動物の作成を行った。動物はSDラットを用い高脂肪食(エネルギー比35%)を負荷し、負荷前、2、6、10週の4点での経時的変化を追った。また通常食摂取のラットを対照群とした。 2) 病態解析とmiRの変動 体重は実験開始1週間より高脂肪食負荷は通常食に比べて有意に増加していた。血清中の中性脂肪と肝組織中の中性脂肪は、実験開始後2週後より終了時まで対照に比べ有意に上昇していた。肝組織のオイルレッド染色の結果では、2週の時点では高脂肪食群で若干の脂肪蓄積が確認されたのみであったが、6週以降は明らかに確認された。肝臓の障害の程度を示す血清ALTは開始後から終了する10週まで全てにおいて差はなかった。以上の結果から、35%高脂肪食負荷により明らかに肝組織中に中性脂肪が蓄積したことが確認されたが、血清ALTは明らかな上昇が見られなく、一般的な血液スクリーニング検査では検出が出来ない非アルコール性の脂肪肝モデルが作成できたと考えられた。また血清中のmiRは線虫のmiR-39で、組織中はU6で標準化を行うreal-time RT-PCR法を用いたmiR定量法の測定条件の検討を行い測定法の確立を行った。この方法で血清中のmiR-122を測定した結果、2週の時点で既にmiR-122は有意に上昇しており、10週の時点では対照に比べて8倍多く増加していた。これはmiR-122がごく早期に非アルコール性脂肪肝を検出できる可能性を示していることが確認された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初には25年度中にmiRが非アルコール性脂肪肝の早期のバイオマーカーとして証明しうる動物実験モデルを作成し、血清中と肝組織中の生化学パラメーターや、肝組織の組織学的な変化を経時的に分析するまでを行うことを計画していた。しかし、同時並行して行っていた血清中および肝組織中のreal-time RT-PCR法の当研究室での立ち上げがスムーズに行われたため、26年度に計画していたmiR-122の測定までも実施することができた。よって、ここまでの結果を2013年10月にバリで行われた13th Asia-Pacific Federation for Clinical Biochemistry and Laboratory Medicine Congress (13th APFCB)にて「Assessment of serum miR-122 as novel biomarker for on-alcoholic fatty liver disease in rat model」として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はNAFLDモデルラットの作成と血清miRNAの測定を中心に進めた。平成26年度は作成したモデルラットの各種パラメーターや組織中のmiRNAの解析し、バイオマーカーとしてのmiR-122がNAFLDの発症・進展機序にどのように関連しているかを明らかにしていく。必要であれば肝組織由来の培養細胞を用いて、脂肪肝状態を再現し、その上清中と細胞内でのmiRの変動機序を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度は研究計画に沿ってほぼ実施したが、ごく一部未実施がありその分を次年度に実施するため次年度使用額が生じた。 前年度のごく一部の未実施分を実施して使用する計画である。
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