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2014 年度 実施状況報告書

次世代酵素センサの開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 25460707
研究機関摂南大学

研究代表者

西矢 芳昭  摂南大学, 理工学部, 教授 (70612307)

研究分担者 野村 隆臣  信州大学, 繊維学部, 助教 (90362110)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード酵素センサ / バイオ計測システム / 電界効果トランジスタ / 信号累積 / 生体成分分析 / pH変化 / 臨床検査 / 食品検査
研究実績の概要

信号累積型イオン感応性電界効果トランジスタ(Signal Accumulation Type of Ion Sensitive Field Effect Transistor: SA-ISFET)を応用し、極めてシンプルな汎用バイオ計測システムの構築を最終目的とする。SA-ISFETを用いたシステムでは、メディエーター等の仲介物質、あるいは光学検出法に要求される発色反応や蛍光標識を用いないので、測定対象が広範囲であり、前処理が簡単なものとなり簡便に測定できる。また、光路長を必要とする光学測定系を使用しないので装置の小型化に向いており、かつ液体クロマトグラフィー、質量分析等の大型機器に比べコストが低く、測定に高い技術力を必要としないといった数多くの利点が期待できる。平成26年度は、生体成分分析の汎用性を拡大し、実サンプル測定への応用を果たした。また、装置の小型化を検討し、コンパクトサイズ測定装置の開発に目処をつけた。
1.生体成分分析の汎用性拡大: 臨床検査や食品分析などに多用されるペルオキシダーゼ活性測定(過酸化水素定量)を行うための分析系を考案し、実際にSA-ISFETにての測定を実証した。累積効果、測定の直線性や再現性も十分なレベルであった。また、平成25年度に引続きグリシンオキシダーゼの測定系を構築、カテコールジオキシゲナーゼ測定系も目処を得た。
2.実サンプル測定への応用: 平成25年度に開発した尿素測定系にて種々ミルク中尿素の分析を行い、実用レベルの測定を確認した。
3.測定装置の小型化: より実用的なコンパクトサイズ測定装置の開発を検討、固体参照電極の採用などにより装置の大幅な小型化を実現した。従来の基礎検討装置の外寸(縦39.0cm×横36.5cm×高さ47.5cm)に対し、コンパクトサイズ測定装置の外寸は縦22.5cm×横19.5cm×高さ9.0cmとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度は当初計画通り、pH計でpHを測定するように手軽に分析ができるシステムの構築に目処をつけること、を目標に検討を進めた。結果として、分析対象を拡大すると共に、実サンプル測定への応用に成功した。装置の小型化についても、コンパクトサイズ測定装置の開発が可能であることを実証した。
平成27年度の研究実施計画である、SA-ISFETを搭載した分析用小型化装置の開発については、すでに平成26年度で目処を得ており、種々の測定法のプラットフォームとなる装置が具現化されつつある。
以上より、当初に掲げていた研究実施計画の内容にしたがって研究が進捗しており、分析対象の拡大について多少の修正はあったものの、期待した成果が得られていると判断した。

今後の研究の推進方策

当初の計画にしたがい、SA-ISFETを応用した極めてシンプルな汎用バイオ計測システムの構築を最終目的とする。
平成27年度は本研究の集大成として、SA-ISFETを搭載したバイオセンサの改良とコンパクトサイズ測定装置との組合わせにより、種々の測定法のプラットフォームとなる装置を具現化する。さらに、測定項目の酵素法測定系開発を継続して行うと共に、酵素免疫測定系への応用についても検討を進める。
本研究のバイオ計測システムが構築されれば、さまざまな用途が想定できる。例えば、臨床検査項目を自己診断可能な簡易システムとして利用することにより、予防医学に役立ち、将来的には医療費削減への貢献も期待できる。食品検査や環境分析などの分野においても、現場レベルでの簡便な測定が可能となる。検査・分析システムが新たに普及するためには、低コスト化や信頼性なども大きな要素となる。本研究では、ISFET製造ベンチャーである(株)バイオエックスの協力により、小型化および規格化が容易というISFETのメリットを十分活かした検討が可能なため、開発成功の可能性は高いと考える。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] A simple and reliable urea assay method based on a signal accumulation type of ion-sensitive field-effect transistor.2015

    • 著者名/発表者名
      Naohiro Tomari, Asako Kawasaki, Yoshihiro Yamamoto, Yoshiaki Nishiya
    • 雑誌名

      Journal of Bioscience and Bioengineering

      巻: 119 ページ: 247-250

    • DOI

      10.1016/j.jbiosc.2014.07.011.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Screening of enzyme stabilizers using thermal shift assays on the basis of structural informations.2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Nishiya, Shohei Nakano
    • 雑誌名

      International Journal of Analytical Bio-Science

      巻: 2 ページ: 58-63

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Structural comparison of creatinases for investigating substrate binding.2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Nishiya
    • 雑誌名

      International Journal of Analytical Bio-Science

      巻: 2 ページ: 143-147

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Blocking Peptide Fragmentの蛍光ベースアッセイによる安定性評価2015

    • 著者名/発表者名
      西矢芳昭
    • 学会等名
      生物試料分析科学会
    • 発表場所
      文京学院大学本郷キャンパス
    • 年月日
      2015-02-14
  • [学会発表] グリシンオキシダーゼの基質阻害様式に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      塩野貴子 鈴村菖 西矢芳昭 新井亮一 野村隆臣
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-11-27
  • [学会発表] Glycine oxidaseの基質阻害に関する構造的基盤2014

    • 著者名/発表者名
      塩野貴子 西矢芳昭 新井亮一 野村隆臣
    • 学会等名
      日本生物高分子学会
    • 発表場所
      信州大学繊維学部
    • 年月日
      2014-09-13
  • [学会発表] 信号累積型イオン感応性電界効果トランジスタを用いた尿素測定センサの開発2014

    • 著者名/発表者名
      西矢芳昭 川崎朝子 泊直宏 山本佳宏
    • 学会等名
      日本臨床化学会
    • 発表場所
      東京大学本郷キャンパス
    • 年月日
      2014-09-07
  • [学会発表] Geobacillus kaustophilus由来Glycine oxidaseのX線結晶構造解析2014

    • 著者名/発表者名
      塩野貴子 新井亮一 西矢芳昭 野村隆臣
    • 学会等名
      日本蛋白質科学会
    • 発表場所
      ワークピア横浜
    • 年月日
      2014-06-26

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公開日: 2016-05-27  

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