研究課題/領域番号 |
25460711
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
炬口 真理子 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (10379430)
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研究分担者 |
宮本 和英 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (10415317)
西郷 勝康 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (20304107)
谷口 泰造 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (70346253)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ユビキチンープロテアソーム系 / PML/RARA / プロテアソーム阻害剤 / ERストレス |
研究実績の概要 |
生体内には生命維持のために蛋白質の品質管理機能があり、その一つはユビキチン-プロテアソーム系(UPS)で行われている。ユビキチン化にはE1、E2、E3の3つの酵素が関与しており、これらは蛋白質固有で、疾患により疾患関連蛋白のE1、E2、E3が変化することが知られている。 プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブの作用機序は明らかでなく、その機序を我々は、『ボルテゾミブは、本来UPSで処理されるべき異常蛋白を蓄積させることにより、ER(小胞体)ストレスを高め、そのレスキュー反応であるUPR (Unfolded protein response)を破綻させて、細胞死を誘導する』と考えた。本研究は、(1)この仮説を急性前骨髄性白血病(APL)細胞株を用いて証明、(2) APLの疾患原因蛋白であるPML/RARAキメラ蛋白に固有のユビキチン化酵素が、APLのバイオマーカーとして臨床適応可能かどうかを検討することを目的とした。 我々は以前、PML/RARA蛋白のE3がSIAH-1であることを報告した(J. Pept. Sci. 2012)。今回、SIAH-1に対するE2がUbcH8であること、ボルテゾミブによる抗腫瘍効果と細胞中のPML/RARA及びUbcH8濃度が相関することを見いだした(H25年度)。次いで、ボルテゾミブの腫瘍効果に比例し細胞上清中のUbcH8濃度が増加すること(PML/RARAは増加しない)、同時にERストレスが高められることを検証した(H26年度)。更に、PML/RARAが細胞上清中に検出されない理由として、PML/RARAは容易に凝集し、オートファジー系により排除されることを確認した(H27年度)。 以上の結果から、ボルテゾミブのAPLに対する抗腫瘍効果の作用機序の一つとして、ボルテゾミブにより本来UPSで処理されるべきPML/RARAが蓄積、それによりERストレスが過度に高められた結果、UPRが破綻し、細胞死が誘導されることを証明した。そして、血清中でのPML/RARAのE2酵素(UbcH8)の濃度測定が、APLの病勢を反映するバイオマーカーとして臨床応用可能であることを確認した。
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