研究課題/領域番号 |
25460713
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
平田 信太郎 産業医科大学, 大学病院, 講師 (90525461)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / バイオマーカー / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
本研究では、関節リウマチ(RA)において、より客観性の高い評価法の確立を目的とし、血清バイオマーカーによる評価法ならびに臨床的情報(疾患活動性評価、関節破壊評価、機能障害評価など)との関連性を検討している。 平成26年度は、当科でTNF阻害療法(Infliximab, Etanercept, Adalimumab)下のRA患者において、マルチバイオマーカーを用いたアルゴリズムにより算出される疾患活動性推定スコア(MBDA)と、X線関節破壊スコアとの関連性を検討した。MBDAにおける低・中等度・高疾患活動性のカットオフ値をそれぞれ29, 44と定義し、0-52週のX線関節破壊スコア変化量との関係を解析したところ、関節破壊が高度の群ほどMBDAによる疾患活動性推定スコアが高く、関節破壊非進行(X線スコア変化量≦0.5)の達成率は、24週時点で臨床的指標では低活動性であるがMBDAで中等度以上と分類された群で68%、逆に臨床的指標が中等度以上であるがMBDAでは低疾患活動性と分類された群では88%と、MBDAの優れた関節破壊予測能が示唆された。 その他、当科で行ったHONOR study (RA患者における寛解到達後のadalimumab休薬試験)参加症例においても休薬後の寛解維持予測因子としてのMBDAの評価に着手している。 さらに、RAの新規バイオマーカーとして報告された14-3-3η(eta), C1M, C2M, C3Mについて、上記とマルチバイオマーカーによる疾患活動性推定スコアの検討と同一症例を中心に測定に着手し、測定系として妥当性を検証するほか、RAの診断および臨床的アウトカム予測における有用性の検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の到達目標は(1) RAの新規バイオマーカーとして報告された14-3-3η(eta), C1M, C2M, C3Mなどについて、当科症例において新たにこれらの測定を行い、測定系の妥当性およびRAの診断および臨床的アウトカム予測に対する精度の検討に着手する (2) 生物学的製剤フリー寛解の予測を目指して、当科で生物学的製剤により寛解達成後休薬に至った症例において、休薬後の寛解維持または疾患活動性再燃を予測しうるバイオマーカー探索に着手する、であったが、いずれも平成26年度内に検討開始に至っており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度および26年度において、サイトカインなどのマルチバイオマーカーによる疾患活動性推定スコア(MBDA)および、新規バイオマーカーとして報告された14-3-3η(eta), C1M, C2M, C3Mなど注目し、これらについて当科で生物学的製剤を導入した症例での疾患活動性評価、臨床的アウトカム予測、休薬後の活動性制御を予測しうるバイオマーカーの検討はおおむね順調に進展している。 一方、当初は機能障害の評価・予測に有用なバイオマーカーの検索を別個に進める計画であったが、機能障害は疾患活動性および関節破壊と密接に関連していることから、さらに機能障害に特化した新たなバイオマーカーの探索は意義が乏しいと考える。上述のように疾患活動性および関節破壊の評価・予測については上記のごとくすでに十分期待される成果を得られつつあることから、平成27年度は引き続き疾患活動性、臨床的アウトカム予測、休薬後の活動性制御予測、の3点に焦点を絞り探索を継続する方針としている。
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