研究課題/領域番号 |
25460716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
朱 寧進 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (10436636)
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研究分担者 |
辻 邦和 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20323694)
宗田 大 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50190864)
関矢 一郎 東京医科歯科大学, 再生医療研究センター, 教授 (10345291)
赤澤 智宏 東京医科歯科大学, 保健衛生学科, 教授 (80291160)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 関節疼痛 / マクロファージ / CD105 / 関節液 / 前十字靭帯再建術 / 炎症 / オステオポンチン |
研究概要 |
疼痛は、関節障害患者の最大の愁訴である。病態の進行に伴う疼痛の増悪及び閾値の低下は、患者のADLを著しく低下させる。本研究では、疼痛の分子機序の解明を目的として、前十字靭帯再建術(ACLR)施行後の関節液中の細胞の動態を追跡し、疼痛の重症度に相関する細胞成分の同定を試みた。 本研究は学内の倫理委員会の承認のもと行った。2013年4月から7月までに当科において施行されたACLRにおいて、患者の合意のもと術後3日目に採取された関節液をBD FACS Verseを用いて解析した(n=26)。疼痛は、朝の動き出しの時の膝の痛みをNRS(Numerical Rating Scale) VAS(Visual Analogue Scale)により定量した。 術後3日目の関節液において、CD105陽性細胞の存在比率とVASの間に負の相関を認めた(r=-0.58)。この細胞は、CD11b/14/33(マクロファージ)、CD3(T)、CD66b(顆粒球)、CD56(NK)の発現と重複しないことから、これら炎症性細胞とは異なる集団であることが示唆された。CD105は間葉系幹細胞(MSC)を特徴づける抗原であるが関節液中のMSC数(CD44/73/90/105陽性細胞数)とVASとの間に相関は観察されなかった。現在CD105陽性細胞の詳細な解析を行い疼痛制御に関与する細胞集団の同定を試みている。CD105はTGF beta受容体であることから、本研究の結果はTGF betaが疼痛制御に関与している可能性も示唆している。また、今後CD105陽性細胞の制御におけるオステオポンチンシグナルの重要性に関して検討を加えていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、関節疼痛の重症度に相関する新たな因子として、関節液中に存在するCD105陽性細胞のポピュレーションを同定した。更なるFACS解析の結果、これら細胞集団は、マクロファージの新たなサブセットであることを示すことが出来た。これら細胞集団と、私たちが以前に同定した疼痛関連物質であるオステオポンチンの関連性に関しては、未だ検討中であり、明確な結論を得るに至っていない。この点で、本研究の進捗はやや遅れていると考えている。また、トランスジェニックマウスを用いた実験に関しては、動物室改装等の理由により、本年度は進捗が大幅に遅れており、次年度にかけての最重要課題である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に同定した、関節疼痛の重症度と相関するCD105陽性マクロファージのサブセットの機能解析に関して、オステオポンチンとの関連性を考察しながら検討を行う。具体的には、この細胞集団が、オステオポンチンの受容体であるCD44の発現を行っているか、行っていた場合、オステオポンチンによりどのように制御されているか(サイトカインの発現パターンの変化等)に関して検討を行っていく。 更に、実験計画書に記載した、遺伝子改変マウスの実験系を用いて、関節疼痛の分子機序の解明に関して検討を行って聞く。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度において、動物実験室の改装等の理由で、マウスの維持管理費が当初予定していた額を下回ったため、次年度使用額として計上を行った。 前年度からの繰り越し分並びに本年度分予算は、関節液の解析(ELISA及びFACS解析)及び、遺伝子改変マウスの維持管理と組織学的実験の項目に分配して試用することを予定している。
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