研究課題/領域番号 |
25460719
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
小林 茂 福井大学, 医学部附属病院, 准教授 (80234821)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経根 / 坐骨神経痛 / 腰椎椎間板ヘルニア / 酸素濃度 / SLRテスト |
研究実績の概要 |
これまでインフォームドコンセントの得られた7例の腰椎椎間板ヘルニア症例に対して、手術中、まず鏡視下にヘルニアで圧迫された神経根を確認後、術中のSLRテストを行い、この時の神経根の動態をビデオ撮影により記録し、神経根とヘルニアの癒着状況を観察し、SLRテスト施行時の神経根の移動距離をヘルニア摘出前後に計測した。またその時の、SLR テスト施行前後の神経根内の酸素濃度をパルスオキシメーターを用いて計測した。その結果、術前に行ったSLRテストで坐骨神経痛の発現した角度において、ヘルニア摘出前、全例で明らかな神経根内酸素濃度の低下(8.0-39.3% [平均± SEM.: 23.1±12.7%) が見られた。しかし、ヘルニア摘出後に同様におこなったSLRテストでは、神経根の動きは明らかにスムースになり、神経根内の酸素濃度の低下は見られなかった。また、全例術後1週間後にはSLRテストによる坐骨神経痛の発現は観察されなかった。この結果より、術中にオキシメーターを用いることにより、ヘルニア摘出後の神経根の除圧の有無を容易に確認することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経根レトラクターに反射型オキシメーターを装着することにより、神経根内の酸素濃度を術中に容易に計測することが可能となった。またヘルニア摘出時に神経根をレトラクターにより移動させる必要があり、その時にも神経根への損傷をなくすためにオキシメーターによって酸素濃度をモニタリングすることが有用であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、更に症例数を増やし、神経根と椎間板ヘルニアの癒着状況、そして坐骨神経痛との関連を電気生理学的手法と病理組織学的手法を用いて精査していく予定である。また、術中ヘルニア摘出時に神経根を加護的に取り扱い、術後麻痺等の遺残症状を回避するために術中の神経根内の酸素濃度の計測は有用であり、椎間板ヘルニア手術の医療安全に大きく貢献すると考えられた。
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次年度使用額が生じた理由 |
神経根レトラクターに装着したパルスオキシメーターの作成が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
神経根レトラクターに装着したパルスオキシメーターの作成のために使用した。
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