これまで腰椎椎間板ヘルニアでみられる根性疼痛(坐骨神経痛など)の発現機序の解明に下肢の運動によって可動する神経根そのものの機能変化に着目した研究は少なく、手術中にヘルニア摘出後の神経根機能の改善を確認することは、術後の遺残性疼痛を予防し、今後の更なる治療成績を向上させるうえで重要である。 本研究では、手術中にstraightleg raising(SLR)テストを施行し、ヘルニア摘出前後の神経根の動態と根内の酸素濃度の変化を観察し、手術中に神経根の機能回復が得られたかどうかを容易に確認できる検査法を確立した。術中ヘルニア摘出時に神経根を加護的に取り扱い、術後麻痺等の遺残症状を回避するために術中の神経根内の酸素濃度の計測は有用であり、椎間板ヘルニア手術の医療安全に大きく貢献すると考えられた。 今後、更に症例数を増やし、神経根と椎間板ヘルニアの癒着状況、坐骨神経痛との関連を電気生理学的手法と病理組織学的手法を用いて精査していく予定であったが、研究代表者は平成28年12月22日より研究継続が不可能となったため、研究を中断することとなった。
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