研究課題
本年度も、これまで見出した複数の新規カゼインキナーゼ1(CK1)阻害薬の鎮痛効果の特徴に関して検討を行い、中でもマウス及びカニクイザルにてモルヒネと同等以上の鎮痛作用を示した化合物APX(昨年度の報告ではXと表記)に関して、臨床試験を見据えた検討を共同研究者とともに行った。その結果、急性毒性試験、反復経口投与試験、遺伝毒性試験等において、特に問題はみられないことを確認し、以下に述べる5つのAPX誘導体とともに、平成28年度「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」シーズBに応募した。5つのAPX誘導体に関しても、マウス疼痛モデルを用いた検討が進行中である。現在まで、疼痛モデルとしてカラゲニンおよび完全アジュバント後肢投与モデル(いずれも炎症性疼痛モデル)を用い、機械的および熱性痛覚過敏現象を指標に、髄腔内投与で鎮痛効果が認められるか否かを検討した。その結果、いずれの誘導体も濃度依存的(0.1-100 pmol)に、APXに匹敵する強い鎮痛効果を認めている。今後は神経障害性疼痛モデルなど他のマウス疼痛モデルに対する効果を検討するとともに、全身投与(腹腔内投与、経口投与)でも効果を示すか、さらには霊長類に対しても有効性を示すか検討を行う。同時に、有害作用にも注意を払い、APXのバックアップ化合物候補として引き続き評価を継続する予定である。また、APXの鎮痛作用にはCK1阻害効果以外の寄与も示唆されているので、これらAPX化合物群のさらなる薬理学的特徴の検討とともに、中枢および末梢組織におけるCK1シグナル伝達と疼痛受容調節に関しての解析も継続する予定である。
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http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~pharmaco/