研究課題/領域番号 |
25460725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
桜田 忍 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (30075816)
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研究分担者 |
溝口 広一 東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (30360069)
渡辺 千寿子 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (90296020)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヒスタミン / 難治性疼痛 / 掻痒 / 脊髄 |
研究概要 |
脊髄においてhistamineは、疼痛伝達に関わる重要な神経伝達物質として働くが、その作用機序は極めて複雑である。研究代表者はこれまでに、低用量histamineの脊髄クモ膜下腔内投与により、疼痛関連行動や疼痛過敏が発現し、これら疼痛反応の発現には、脊髄H1受容体とNK1受容体の活性化が関与する一方、高用量histamineの脊髄クモ膜下腔内投与によっては、NMDA受容体を介した疼痛関連行動が発現することを報告している。疼痛反応には、疼痛関連行動や疼痛過敏の他に、接触刺激等の非侵害刺激を侵害刺激として認識するアロディニア(異痛)も存在する。研究代表者は本年度、低用量histamineの脊髄クモ膜下腔内投与によりアロディニアが発現し、その発現には、脊髄のH1受容体とNK1受容体が関与し、H2受容体とNMDA受容体は関与しないことを発見した。 また、坐骨神経半結紮(Seltzer法)による神経障害性疼痛モデルにおいては、強力なアロディニアが発現するが、このアロディニアは低用量histamineの脊髄クモ膜下腔内投与により増強されることを発見し、このアロディニアの増強には、脊髄のH1受容体、H2受容体およびNK1受容体は関与せず、脊髄のNMDA受容体、特にポリアミンサイトの活性化と周囲のグリア細胞が関与することを明らかにした。さらに、同神経障害性疼痛モデルにおいては、極低用量histamineの脊髄クモ膜下腔内投与により疼痛関連行動が発現し、アロディニアと同様に、この発現には脊髄のH1受容体、H2受容体およびNK1受容体は関与せず、脊髄のNMDA受容体、特にポリアミンサイトの活性化と周囲のグリア細胞が関与することを明らかにした。 以上本年度の研究結果より、神経障害性疼痛時においては、脊髄histamineを介した疼痛反応は感受性が亢進しており、通常とは異なるメカニズムで発現することが明らかとなった。現在、他の難治性疼痛モデルである炎症性疼痛モデルを使用し、同様の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
癌性疼痛モデルを作成する際に移植する腫瘍細胞の保管状態に問題が生じたため、癌性疼痛モデルを用いた実験は休止している。現在、腫瘍細胞の供給元に、腫瘍細胞株の再度の供給を依頼している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、炎症性疼痛モデルを用いた実験を遂行中であり、次年度はそれに加えて掻痒の「チークモデル」を確立する予定である。また、腫瘍細胞株が供給され次第、癌性疼痛モデルを用いた実験も再開する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
癌性疼痛モデルを用いた実験を一次休止したため、それに伴い研究費の使用計画に変更が生じた。 現在、炎症性疼痛モデルを用いた実験を遂行中であり、次年度はそれに加えて掻痒の「チークモデル」を確立する予定である。また、腫瘍細胞株が供給され次第、繰り越した研究費を使用して癌性疼痛モデルを用いた実験を再開する予定である。
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