平成25年度の研究により、三叉神経領域への慢性的侵害刺激がマウス脳硬膜肥満細胞の脱顆粒を引き起こす現象が観察された。この結果より、顔面に分布する三叉神経線維に侵害刺激を加えると脳硬膜において神経原性炎症が認められることが確認された。 平成26年度は、平成25年度に認められた現象を解剖学的に解明するため、脳硬膜および顔面に分布する三叉神経線維の三叉神経節内における局在について検討し、脳硬膜に分布する三叉神経線維が顔面に線維を送ることを明らかにした。さらにマウスにおいて、顔面三叉神経領域に加えた侵害刺激が三叉神経節の神経細胞を介し 脳硬膜に影響を及ぼしている可能性が示唆された。 そこで平成27年度は副交感神経節である翼口蓋神経節(SPG)と感覚神経節である三叉神経節の関係について検討した。SPGは、副交感神経の神経節で大錐体神経・翼突管神経を経由する中間神経からの線維を受け、その節後線維は涙腺や鼻腔に投射していることが知られている。さらに三叉神経節からの感覚神経線維がSPG内に存在することも明らかにされている。そこで本研究では感覚神経線維であるcalcitonin gene-related peptide (CGRP)含有神経線維に注目しSPG内におけるCGRP受容体とCGRP含有神経線維の分布についてSprague-Dawley種ラットで検討しCGRP受容体が副交感神経節の神経細胞に多数存在することを明らかにした。
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