研究課題
本年度は、アトピー性皮膚炎モデルマウスにおけるミクログリア細胞の活性化阻害剤の止痒効果及び皮膚炎改善効果について検討した。ダニ虫体成分含有軟膏の反復塗布によって誘発したアトピー性皮膚炎様症状を呈するNC/Ngaマウス(Dfb-NC/Nga)の髄腔内に活性型ミクログリア細胞阻害剤であるminocyclineを週3回、2週間投与した。その結果、コントロール群(溶媒投与群)と比較して、minocycline投与群において、投与量依存的に有意な掻破行動の抑制と皮膚炎の改善が認められた。従って、脊髄内のミクログリアが少なくともアトピー性皮膚炎における難治性かゆみの発症に関与することが示唆された。このようにminocyclineはアトピー性皮膚炎の難治性かゆみの新たな治療法になる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、アトピー性皮膚炎モデルマウスの髄腔内にミノサイクリンを投与することで、ミノサイクリンのかゆみ抑制効果という新たな薬理効果を見つけた。組織学的な検討が不十分であるが、おおむね順調に研究が進展したと考えている。
今後は、ミノサイクリン投与前後の脊髄後角におけるミクログリア細胞の動態を組織学・生化学的に検討する。加えて、ミクログリア細胞の他に、アストロサイトを標的としたアトピー性皮膚炎の治療応用に向けて、活性型アストロサイト抑制剤によるアトピー性皮膚炎モデルマウスのかゆみ行動抑制効果の検討を行う予定である。
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