研究課題/領域番号 |
25460728
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
田中 英俊 東京医科大学, 医学部, 助教 (90317876)
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研究分担者 |
澤地 恭昇 東京医科大学, 医学部, ポストドクター (20571152)
遠藤 健司 東京医科大学, 医学部, 講師 (90266479)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経侵入 / 頸椎症 / 椎間板 / NSAIDs / ステロイド |
研究概要 |
肩こりや頸部痛は加齢と共に増加傾向となるが,その病因や原因については非常に多くの要因が関与していることが推察されており,ほとんど解明されていないのが実情である. 近年,椎間板性腰痛の分子機構として,加齢や炎症による椎間板の変性に伴い,疼痛を伝達する神経線維が椎間板内側に侵入し疼痛感作が生じることが明らかとなってきたが,頸部痛においては不明である.一方,腰痛,頸部痛ともに非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や選択的COX-2阻害剤が用いられるが,頸部痛に対しては無効な例を多く経験する. 本研究の目的は,椎間板変性を背景とした慢性頸部痛に対する薬剤効果を,椎間板変性と神経侵入に着目し腰椎由来椎間板細胞と比較し,その違いを分子生物学的に解明することで,頸部痛に対する薬学的治療の可能性を探ることである. 本年度は,頸椎および腰椎椎間板由来細胞の本研究に適した培養法の確立を目的とした.頸椎椎間板由来細胞は,腰椎由来細胞と比較し増殖能が低く,培養法の確立には至らなかった.そこで,比較的増殖活性の高い腰椎由来椎間板細胞を用いて2次元平面培養と3次元alginate beads培養法を用いて比較検討した.その結果,炎症性サイトカインであるIL-1により誘導される神経成長因子(NGF)や細胞外基質分解酵素(MMP)発現に対する選択的COX-2阻害剤およびステロイドの効果は,2次元培養と3次元培養とで差異は認められなかった.今後,頸椎由来細胞においても培養条件を確認し,腰椎由来椎間板細胞との薬剤応答性の違いを比較検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は頸椎由来と腰椎由来椎間板細胞の薬剤応答性の違いの解明を目的とし,昨年度は椎間板細胞の培養法確立を目指した研究を計画した.しかしながら,実験に必要な十分量の頸椎由来椎間板細胞の入手に難渋した.その理由として,頸椎手術時に得られる椎間板の数,量ともに限りがあること,また頸椎由来細胞は腰椎由来細胞と比較し増殖活性に乏しいことがあげられる.一方,腰椎由来椎間板細胞を用いて,2次元と3次元培養法を確立し,薬剤応答性の違いを検討し,培養法による薬剤応答性に差異を認めないことを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
頚椎由来椎間板細胞の入手に難渋したが,一定数の検体を培養し細胞を凍結保存することが出来ている.今後はこれら細胞を用いて,計画通り腰椎由来椎間板細胞との薬剤応答性の相違の解明に向けた研究を行う予定である. また,その際限られた検体で効率よく解析するため,Bio-Plexマルチサスペンションアレイシステムを用いて網羅的に標的分子を定量化する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は,実験に必要な十分量の頸椎由来椎間板細胞の入手に難渋した.従って昨年度は,主に細胞培養の消耗品に経費を使用するに留まったため,予定よりも使用額が少なかった. 今年度以降は,昨年度培養し凍結保存した頸椎および腰椎由来椎間板を用いて,研究計画に従い薬剤応答性の差異の解明を目指す.昨年度試みたalginate bead培養に加え,コラーゲンゲルを用いた3次元培養も試み本研究に適切な培養法の確立を目指す.またその評価にはBio-Plexマルチサスペンションアレイシステムを用い,限られた検体から効率よく網羅的に標的分子の解析を行う予定である.
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