椎間板性腰痛の分子機構として,細胞外基質分解酵素(MMP)による椎間板変性に伴い,神経線維が神経成長因子(NGF)依存的に椎間板内に侵入し疼痛感作が生じるとされていたが,頸部痛においては不明であった.ヒト腰椎および頚椎由来椎間板細胞を用いて臨床で汎用される選択的COX-2阻害剤の効果を比較検討した.その結果,両細胞間で薬剤応答性に差異は認めなかったが,同薬剤がMMPおよびNGF発現をむしろ増強させ,逆にprostaglandinはEP4受容体を介し,当該遺伝子発現を抑制することを見出した.本研究成果は,腰痛,頚部痛に対する薬剤選択の際に考慮されるべき重要な基礎研究成果であると考えられる.
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