研究実績の概要 |
昨年度までに脊髄電気刺激により、脊髄膠様質ニューロンの細胞膜の過分極を示す緩徐な抑制性シナプス後電流(slow IPSC)が発生することをラット脊髄スライスおよびin vivo標本を用いて確認することができた。本年度はin vivo 標本を用いて、脊髄電気刺激によるslow IPSCが発生する至適な条件の検索を行った。解析はin vivo パッチクランプ法膜電位を-50mVに固定して、保持膜電流の変化に注目した。電気刺激は記録ニューロンの髄節レベルより高位の脊髄後索に電極を接するような形で前もって設置しておいた。20Hzで20回(刺激強度:0.3~1.0mA、刺激持続時間:0.4ms)反復刺激を基本に、刺激強度を0.5mAから10mAまで0.5mA刻みで、10mAからは50mAまで10mAまで10mA刻みで変更してslow IPSCの振幅の変化を解析した。また、刺激回数を1,5,10,20,40,100,150,200回と変更しslow IPSCの振幅の変化を解析した。結果、刺激強度は10mAまではslow IPSCの振幅の増強を認めたが、それ以上は増強を認めなかった。また刺激回数は150回までslow IPSCの増強を認めたが、それ以上は増強しなかった。以上の結果から、本研究における脊髄電気刺激によりslow IPSCが最も大きく得られる最小の刺激条件は20Hzで150回、刺激強度:10mA、刺激持続時間:0.4msであった。
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