研究実績の概要 |
本研究は秋田県北秋田市における尿アルブミン(従来法の免疫法、新たなHPLC法)、推定糸球体濾過率(eGFR)評価を含む一般住民1,329人のコホート(平成22-24年度科学研究費補助金対象)を用いて、①ベースラインの免疫法・HPLC 法尿アルブミン排泄が死亡、心血管疾患発症の予測因子として意義があるか、腎機能低下予測能はどうか、②年1回免疫法・HPLC 法尿アルブミンを測定し、その変動が腎機能(eGFR)悪化を予測できるか、あるいはeGFR変動・尿アルブミン変動が死亡、心血管疾患発症を予測しうるか、を5年間の前向き研究で検討したものである。 平成25~28年度それぞれ、データベース構築から2年、3年後、4年後、5年後(最終年)のデータ(尿検体収集・尿アルブミン測定、参加者の住民健診基礎データ)収集は終了、全年度の尿検体の免疫法・HPLC法尿アルブミン測定、eGFRの結果が判明、解析に入ってる。 判明してる成果:ベースラインのデータと最終5年後のデータが入手できた565人で解析、正常アルブミン尿から微量アルブミン尿への進展の予測因子として、糖尿病、登録時eGFR低値、免疫法尿アルブミンないしHPLC法尿アルブミンの正常範囲内での高値、HPLC法と免疫法尿アルブミンの差(変性尿アルブミン:尿細管機能反映か)の低値が判明した。また腎機能(eGFR)低下には登録時eGFR高値、免疫法尿アルブミンないしHPLC法尿アルブミンの正常範囲内での高値、HPLC法と免疫法尿アルブミンの差(変性尿アルブミン:尿細管機能反映か)の低値、女性が予測因子であることも反映した。すなわちHPLC法尿アルブミン測定の有用性を示すことができた。 さらに心血管疾患発症の解析、尿アルブミン、eGFRの年次変動が将来の腎機能低下、心血管疾患発症の予測因子となるかも検討中である。
|