研究実績の概要 |
研究期間中に種々の解析(遺伝子関連解析、遺伝子環境因子関連解析、追跡解析、等)を行ったが、その一部を以下に記載する。 1.尤度比を用いた2型糖尿病の統合的リスク評価(遺伝子解析) 【目的】尤度比(事後/事前確立)を用いた2型糖尿病のリスク評価法を提案する。【方法】オープンデータとなっている日本人のSNP、肥満、高血圧と2型糖尿病との関連研究結果より、一般住民での尤度比を計算した。次に、私達の地域コホート(n=1,263)に、その評価法を適用し、非侵襲性糖尿病スクリーニングTOPICS及び糖尿病リスクアレル数カウント(GRS)の識別能力とROC解析を用いて比較 した。【結果】AUC値は、それぞれ、0.707, 0.719,0.624となり、本評価法とTOPICSはGRSの識別能力より優れていた。【結語】尤度比を用いた本評価法が有用であることを提示した。 2.脂質異常症治療と死亡率との関連(追跡解析) 【目的】実臨床での、脂質異常の治療と死亡との関連を一般住民を対象とした追跡調査より検討した。【方法】対象:山形県高畠町住民検診の2004―2006年参加者3,291人(男/女:1,515/1,776;年齢:62.5±10.3)。追跡調査:死亡、及び、死因を、2011年末まで追跡調査した(追跡中央値:2,655日、169人が死亡)。高脂血症治療と全死亡との関連をCox比例ハザード法で解析した。【結果】高脂血症治療は、種々因子で補正しても、全死亡低下と関連していた(治療Vs.非治療、HR: 0.24, p=0.008;治療Vs.非高脂血症、0.34, 0.042)。【結語】高脂血症は全死亡のリスクだが、治療はリスクを軽減し、高脂血症の無い人よりも低くする事、また、その効果は脂質改善効果と独立しており、高脂血症治療の治療は、より積極的に進める必要がある思われた。
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