研究課題
研究期間中に種々の解析を行ったが、結果の纏まったものは以下。遺伝子環境因子相互作用を考慮した肥満予防の可能性【目的】肥満には環境因子のみならず遺伝因子も関与しているが、その相互作用を考慮した研究は少ない。その相互作用を明にする事は、体質に応じた疾患治療及び予防(個別化医療、precision medicine)に繋がり重要と思われる。そこで、遺伝因子と肥満との関連に環境因子がどの様に影響しているかを、一般住民を対象とした横断及び追跡調査より検討した。【方法】山形県高畠町住民検診の2004―2006年参加者で2011年末まで追跡調査できた2,134(追跡期間5-7年)を対象に肥満(BMI)との関連を調べた。遺伝子解析の協力を得られた1620名では、既報の東アジア人での肥満関連遺伝子の単塩基多型を用いたweighted genetic risk score (GRS)を用いて遺伝因子とBMIとの関連を生活習慣因子も加えて重回帰分析にて調べた。【結果】1. 横断研究:GRSとBMIは有意に関連(p<0.001)。この有意性は種々の生活習慣因子で補正しても保たれており独立した危険因子だった(p<0.001)。GRSは種々の生活習慣因子と有意な相互作用を示した:炭水化物摂取量、動物性及び植物性蛋白摂取量、動物性及び植物性脂肪摂取量、食物繊維摂取量、運動量、インスリン抵抗性指数(HOMA-R)(全てでp<0.001)、及びアルコール摂取量(p=0.014)。2.追跡調査:GRSはBMIの変化と関連しておらず、生活習慣因子を含めての解析でも有意な相互作用は認められなかった。【結語】肥満に関して遺伝因子と生活習慣との相互作用がある事を明らかにした。追跡調査では、この相互作用は明らかではなく、今後の課題として残ったが、生活習慣因子を考慮した遺伝因子の解析の重要性を確認出来た。
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J Hum Genet.
巻: 61 ページ: 317-322
10.1038/jhg.2015.148.