本研究は、母児間免疫寛容に着目した早産の新しい予防戦略をたてることを目的とした。第一段階として行った病理組織学検査と診療録の後方視的検討からは、母児間免疫寛容の破綻による早産は一定頻度存在するものの、絨毛膜羊膜炎を伴う早産の主要な機序である可能性は低いと考えられた。次に、妊娠初期・中期・後期の妊婦について母児間免疫寛容で主要な役割を果たす血漿中の可溶性HLA-G値を測定し、早産との関連を評価した。早産発症の指標としての妊婦血漿中のHLA-G値の有用性を明らかにすることはできなかった。最後にスクリーニングに基づいた介入による絨毛膜羊膜炎を伴う早産の予防プロトコルを作成した。
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