研究課題/領域番号 |
25460744
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中村 美詠子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (30236012)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 栄養 / フード・インセキュリティ / 社会経済要因 |
研究実績の概要 |
一般労働者及び若年者(大学生)を対象とした調査データについて検討した。調査は浜松医科大学倫理委員会の承認を得て実施した。一般労働者調査では2383人から調査票が回収され(回収率77%)、性・年齢に回答のあった男性1631人、女性727人を分析対象とした。お金の節約のために食事を抜いた経験がある者は男14.7%、女9.9%、量を減らした者は男31.8%、女34.9%、種類を減らした者は男36.7%、女46.0%、多忙あるいは近くに店がないため食料品を買えなかった者はそれぞれ男19.9 %、女27.5 %、男6.9%、女7.6%であった。お金の節約のために食事を抜く、量を減らす、種類を減らすことの主観的不健康に関するオッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ1.97(1.46-2.65)、1.59(1.25-2.02)、1.40(1.10-1.78)、多忙あるいは近くに店がないために食料品が購入できないことのオッズ比はそれぞれ1.45(1.11-1.89)、1.30(0.86-1.98)であった。大学生調査では476人から調査票が回収され(回答率63.8%)、2~4年生で一人暮らしの学生255人を分析対象とした。お金の節約のために食事の量・種類を減らしたことと主観的不健康は有意な関連を示さなかった。また多忙あるいは近くに店がないために食料品購入ができないことのオッズ比はそれぞれ2.03(1.07-3.82)、1.82(0.96-3.45)であった。以上より一般労働者においても経済・時間・物理的フード・インセキュリティは存在し、主観的不健康と関連していることが明らかにされた。一方大学生調査は単一の大学での調査であり一般化できないが、時間的要因との関連が強い等一般労働者とはやや異なる傾向が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度はフード・インセキュリティと病態、疾患との関連を明らかにすることを目指していた。分析計画のうち、主観的健康観との関連については学会発表にて公表済であるが、その他の病態・疾患との関連については現在分析をすすめているところであり、公表には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度が最終年度となるため、分析計画にそったデータ分析をすすめていくとともに早期の公表(学会発表、論文発表)を目指していく。特に本年度は食品摂取頻度調査データを用いた分析を中心にすすめ、フード・インセキュリティの栄養学的を明らかにすること、及びフード・インセキュリティ該当者に対する食事・栄養改善対策に対するアプローチ法に到達することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿を予定し、英文校正費等を計上していたが、平成26年度は論文公表に至らず、論文公表関連経費が主に次年度使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度中の論文公表を目指し、英文校正費等の論文作成費に用いる。
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