研究課題/領域番号 |
25460744
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中村 美詠子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (30236012)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 栄養 / フード・インセキュリティ / 社会経済要因 |
研究実績の概要 |
平成27年度は病態・疾患とフード・インセキュリティとの関連について検討した。目的変数を疾患の有病・既往状況、検査値の異常、現在の服薬状況、説明変数を経済的、時間的、環境的フード・インセキュリティとして、性別に年齢を調整したロジスティック回帰分析によりオッズ比(OR)等を求めた。経済的阻害(欠食)は胃潰瘍(男OR1.6)、うつ(男OR2.8)、気分安定薬服用(男OR2.4)、逆流性食道炎(女OR2.7)、高脂血症(女OR:2.0)と、時間的阻害(食品購入阻害)は睡眠時無呼吸症候群(男OR2.7)、気分安定薬服用(男OR1.9)、高血糖(女OR2.0)、糖尿病薬服用(女OR:4.0)と、環境的阻害(店がなく食品購入阻害)は高血圧薬服用(男OR1.9)、高血糖(女OR3.1)、糖尿病薬服用(女OR6.3)、がん(女OR4.3)と有意な関連を示した。海外で経済的阻害との関連が報告されている糖尿病は、女性において時間的、環境的阻害と関連していた。男性では経済的、時間的阻害とメンタルヘルスとの関連がみられた。 先行研究から予測された糖尿病等に加え、男性ではメンタルヘルスとの関連が見られたため追加分析を実施した。日勤帯勤務に従事する男性労働者を対象として、労働時間、睡眠時間、夕食の時間と気分・不安障害のスクリーニングに用いられるK6尺度との関連を検討したところ、睡眠時間が不規則な者では労働時間に関わらずK6得点の平均値が非常に高く、睡眠時間が不規則な者を除外した分析では、夕食の時間が午後10時以降と遅いことまたは不規則なことは、労働時間や睡眠時間に関わらずK6得点高値と関連していた。 本年度の検討により、男女におけるフード・インセキュリティと心身の健康との関連が明らかにされた。特に勤労男性における時間的疎外の解消は個人レベルでの対応は難しく、社会環境レベルでの対応が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度に実施したフード・インセキュリティと病態、疾患との関連に関する検討の結果、あらたな課題(男性におけるメンタルヘルスとの関連)が見つかり、これに対して追加検討を行ったため、当初の課題であったフード・セキュリティに関する栄養学的特徴に関する検討が課題として残されている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの成果の論文公表を目指すとともに、残された課題について分析をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果公表の一部が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
成果公表をすすめる。
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