研究課題/領域番号 |
25460748
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上嶋 健治 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40213334)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 高血圧 / 観察研究 / アンジオテンシン受容体拮抗薬 / カルシウム拮抗薬 / 心血管イベント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、心血管イベントの発生を指標として前向きに観察した大規模臨床研究CASE-J(Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japan)とCASE-J Ex(Extension)試験をもとに、2013年末まで観察期間を10年超に延長したCASE-J 10試験として実施することにより、合併症を有する日本人のハイリスク高血圧患者の至適降圧目標値を明らかにするものである。 平成27年度は、4月6日時点で回収されていた1562例の調査票に加えて、詳細な心血管イベント情報も得た。ただし、後ろ向き試験のため、試験参加医師の記録や記憶に曖昧な部分もあり、調査票の回答への空白や論理矛盾なども散見したため、多数のクエリを発行した。同様の理由で、その回収にも難渋したが、最終的には無事データクリーニングを終了した。 さらに、今回の情報を入力したデータベースと、先行したCASE-JとCASE-J Exとの突合作業を行ったが、データベースの形状が異なることなどから進捗に時間を要し、専門家の意見を聞きながら作業を進め、主要評価項目のみが解析可能な状況にまで到達した。 なお、成果は英語による論文発表の予定であるため、参加医師全員の名前をacknowledgementに記載する予定であり、参加医師全員の氏名の英語表記を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には研究組織を立ち上げ、倫理審査員会の承認を経て(E-1948)、調査を開始した。平成26年度終了時点での参加医師数は210名、登録症例数1562例であった。CASE-J試験の登録症例数は4728例であり、引き続いて実施されたCASE-J Exの登録症例数は2232例と半減(47.2%)した経緯があることから、CASE-J 10の登録症例数としてCASE-J Exの登録症例数の70.0%である1562例を確保できたこと、および難渋しながらもデータクリーニングを終了し、一部ではあるが、今回のデータベースと先行試験のデータベースの突合作業が完了したことは、おおむね順調な進展と自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、今回と先行試験の全データベースの突合作業を完了させ、事前にサブ解析計画なども含めた解析計画の概要をまとめる。 また、従来のCASE-J、CASE-J Ex試験の解析を踏襲して、心血管イベントに及ぼすカンデサルタン群とアムロジピン群との比較解析を行う。すなわち、全症例をintention-to-treatの原則にもとづいて、実際に服用した薬剤や途中での薬剤の変更等に拘らず、割付け通りに心血管イベント発生率を両薬剤群間で比較する。イベント発生率の検定には層別ログランク検定を用い、Kaplan-Meierの方法により生存曲線を描く。副次評価項目である致死的心血管イベントと総死亡および新規糖尿病の発症についても同様に解析する。 さらに、全症例を割付け薬剤に拘わらず、降圧治療下の高血圧患者集団として、心血管イベント発症と到達血圧レベルから検討する。また、さらには、解析したデータの公表、すなわち学会発表、論文執筆などに充てる。同時に、報告内容は研究組織のメンバーと試験参加医師に送付する。学会発表と論文執筆には上嶋および全連携研究者が従事する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究は1500例以上の後ろ向き試験のため、試験参加医師の記録や記憶に曖昧な部分もあり、調査票の回答への空白や論理矛盾なども散見した。したがって、多数のクエリを発行し、その回収にも難渋した。さらに、本試験は紙媒体でのデータ収集であったため、先行したCASE-JおよびCASE-J Exとのデータベースとの突合に時間を要している。これらのことから、試験の進捗が遅れ、それに伴い経費の執行も遅れたため、次年度への使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度には、最終的なデータベースの作成、データ解析、学会発表、論文投稿、参加医師への報告などを計画しており、それらへの経費として使用予定である。 また、国際的にも降圧目標値が大幅に見直されている中、学術集会への出席などを含めて、新規の情報収集活動にも充てたい。
|