研究実績の概要 |
本研究の目的は、内臓脂肪面積測定装置であるHDS-2000(DUALSCAN)を用い、健診受診者を対象に、①横断解析として、各肥満指標(BMI, ウエスト周囲長、内臓脂肪面積、皮下脂肪面積)とメタボリック症候群(Mets)の構成因子(血圧高値、脂質異常、血糖高値)との関係を検討すること、②縦断研究として1年後の各肥満指標の変化と、血圧値、脂質値、血糖値の変化との関係を検討することである。横断研究には5454名が登録され、60歳以下を解析対象集団とし、結果として4741名(男性3017人、女性1724名)について解析した。対象者の背景は、男女別に、平均年齢48.2, 46.3歳、平均BMI23.7, 21.5kg/m2、腹囲84.9, 77.8cm, 内臓脂肪面積(VFA)76.4, 44.4cm、皮下脂肪面積(SFA)154.9, 137.7cmであった。各肥満指標を四分位に分け、Mets構成因子数との関係を検討したとろ、いずれの肥満指標でも増加にともないMets構成因子数は増加したが、男性ではBMI、腹囲、VSAと女性ではBMI、腹囲、SFAでより直線的に増加する傾向を認めた。さらに、VFAとVSAの両方を考慮しMets構成因子数との関係を検討したとろ、男性ではVFAの増大に、女性ではVFAとSFAの両者の増大に依存した因子数の増加が観察された。腹囲とVFA、SFAの相関を検討した結果、女性では男性と比べVFAとの相関が低かった。以上から、特に女性では内臓脂肪面積測定装置を用いてVFAとSFAの両者を測定する意義が高いと考えられた。 縦断研究には630名が登録され、60歳以下の462名について解析した。各肥満指標の変化と血圧値、脂質値、血糖値の変化との関係を検討した結果、統計的に有意ではあったが、いずれの相関係数は±0.3未満であり、臨床的に意義のある結果は得られなかった。
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