研究課題/領域番号 |
25460752
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
喜多村 祐里 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90294074)
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研究分担者 |
祖父江 友孝 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50270674)
大野 ゆう子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60183026)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大規模コホート / 死亡リスク / 公有化 / 職業別 / 地域住民ベース / 疫学研究 / 一意性 / 標本 |
研究実績の概要 |
本研究では既存の大規模コホートデータの二次的利用を促進するねらいがある。ここでは三府県コホートと呼ばれる10万人規模の地域住民ベースのコホートを用い、初年度(平成25年度)においては職業別の疾病死亡リスクの分析を行った(喫煙、飲酒、BMIにより調整)。当該コホートの希少性を生かした「最も長く従事した職業」変数に基づいて7種の職業区分に分類し、全死因、がん、心血管系疾患、脳卒中、および虚血性心疾患による死亡リスクをコックス比例ハザードモデルにより算出し、今年度は、さらに国の人口動態統計特殊報告を用い、同様の職業区分による相対リスクから外部比較を試みた。結果、人口動態統計による相対リスクは三府県コホートのハザード比に比べ、男女ともに「無職」群におけるリスクが著しく高いという結果が示された(投稿準備中)。これは、現在のわが国における人口統計の集計方法とその分析手法の限界を示しているとも言える。このような限界を念頭に置き、貴重な個票データを適切な情報源として有効に利用するためには、個票データの突合を含めて安全かつ合理的な取扱い基準に基づくビッグデータの管理と運用が重要である。 そこで本研究では、個票データの一意性についても検討した。ここでは三府県コホートデータを用い、概ね変数における分類数の合計が2万を超えると一意となる個体数が分類数の80%にものぼることが確認された。しかし同時に、変数の特性にも大きく影響を受けることが分った。従って、データまるめの方策にも工夫が必要と考えられる。またサンプルサイズの違いによる影響を調べるため、個票データからの無作為抽出により、標本数を100、1000、1万に変化させた場合で同様の検討を行った。これにより、標本数が小さくなるにつれて分類数全体に占める一意データ数の割合の増え方は著しく増大することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づいて初年度までに生活習慣における主要因子で調整した職業別の死亡リスクに関する検討が終わっており、平成26年度内では成果発表の準備に加えて、パブリックドメイン化を見据えた個票データの開示における一意性の問題を検討した。これに伴い、当初予定していたがん罹患データのクリーニングについての着手にやや遅れを生じているものの、概ね計画通り順調に達成できていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は平成26年度までに得られた成果の論文化や広く一般にも分かり易い形での公表を予定している。さらに、がん罹患に関する転帰情報を用いた網羅的解析と他のコホートデータとの連携によるプール解析を検討中である。 (次年度使用額が生じた理由と使用計画) 助成金の使用が次年度へ繰り越された理由としては、がん罹患に関する解析に先駆けてパブリックドメイン化に関する検討作業を行ったことによる物品購入費および旅費の使用時期が遅延したことと作業の効率化に伴う消耗品費の削減によると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
助成金の使用が次年度へ繰り越された理由としては、がん罹患に関する解析に先駆けてパブリックドメイン化に関する検討作業を行ったことによる物品購入費および旅費の使用時期が遅延したことと作業の効率化に伴う消耗品費の削減によると考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度にあたるので、解析および成果発表にかかる費用として計上予定である。計画的に実行する。
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