研究課題/領域番号 |
25460753
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
守山 敏樹 大阪大学, 保健センター, 教授 (30283815)
|
研究分担者 |
山本 陵平 大阪大学, 保健センター, 講師 (00533853)
祖父江 友孝 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50270674)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | shift work / 睡眠 / 最終糖化産物 / ジュース摂取 |
研究実績の概要 |
前年度までに行った深夜業務と蛋白尿の発症の関連を調査する過程において、「ジュースの摂取頻度」が蛋白尿の発症の予測因子である事が明らかになった。深夜業務頻度と同様の登録基準を用いた抽出した対象7939例において、初回健診受診時に「ジュースまたは砂糖入りコーヒーなどを日に0杯、1杯、2杯以上」というアンケート項目に対して、3579例(44.9%)、3055例(38.3%)、1342例(16.8%)が0杯、1杯、2杯以上と回答した。そのうち蛋白尿を発症したのは301例(8.4%)、272例(8.9%)、144例(10.7%)であった。Cox比例ハザードを用いて、年齢、性別、血圧等の様々な蛋白尿関連因子で統計学的補正を行った結果、1日2杯以上のジュース摂取が蛋白尿予測因子であった(0杯, 1杯, 2杯以上の多変量補正ハザード比[95%信頼区間]: 1.00 [reference]; 1.04 [0.88-1.23]; 1.28 [1.05-1.57])。この後、深夜業務頻度、ジュースの摂取頻度等の蛋白尿の発症に関連するライフスタイルを疫学的手法を用いて明らかにする予定である。さらにその機序を探る目的で、ソフトドリンク摂取が最終糖化産物負荷を来しうるというこれまでの報告に注目し、当保健センターの健康診断に「AGEs Reader(糖化度測定器)」を導入して皮下に沈着した最終糖化産物を非侵襲的に測定することが可能になり、これまでに約4000名の測定を終えたところである。来年度は、さらにAGE測定データを継続し、そのデータもあわせて深夜業務、ジュースの摂取頻度と蛋白尿の関連について解析する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は深夜業と蛋白尿の関連についての解析中に、ジュース摂取頻度というこれまでに全く報告のされていない新たな因子が蛋白尿出現と関連することを見いだした。疫学的事実のみでは、健康リスクを考察するにあたって十分とは言えない。文献的考察から、ジュース摂取がその最終糖化産物の生体への負荷をもたらす可能性に着目し、生物学的機序にアプローチすることを目的として、健診受診者をすべて対象として、皮下の最終糖化産物(AGE)測定を実施したところである。本年度の解析によって新たな視点からの研究が進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、当該年度に実施予定であった各種測定を実施し、その成果を学会等で発表予定としており、当該年度に支出しなかった研究経費を使用する予定である。また、当年度に別予算で導入した機器を用いて皮下AGE測定を実施する予定としており、ここに人的配置を必要とし、アルバイト雇用を予定しておりこれにも研究経費を必要とする。これらの解析をもとに最終年度としては、深夜勤務とAGE蓄積、またジュース摂取頻度の関連について新たな知見が得られつつあり、深夜業の蛋白尿出現リスクについてある程度の生物学的基盤を有する成績が得られることが期待される。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究において主に使用するために、AGE測定装置を導入したが、高価な機器でありその予算は本研究からの支出が困難なため、他の予算を用いた。また測定にあたって配置が必要は人件費が発生したが、これも今年度は他の予算でまかなった。そのため、予定してた測定にかかる費用の支出が見込みより少なくなったことが、次年度使用予定が発生した主な原因である。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度においては、AGE測定実施のためのアルバイト雇用が必要となり、その支出が見込まれる。また、学会発表も複数回予定しており、論文作成も開始するため、その費用が必要となる。
|