研究課題/領域番号 |
25460754
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東岸 任弘 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20379093)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マラリア / SE36ワクチン / 遺伝的バックグラウンド / Fcレセプター |
研究実績の概要 |
マラリア感染症は年間1億人以上が感染し、およそ100万人が死亡する熱帯感染症である。これまでに我々は熱帯熱マラリア原虫の抗原タンパク質であるSERA5 (Serine repeat antigen 5)のN末端ドメイン(P47ドメイン)由来の組換えタンパク質を抗原とするSE36マラリアワクチンの開発を行ってきた。2010年よりアフリカ・ウガンダのマラリア高度流行地域において6-20歳の健常ボランティアを対象に第Ib相臨床試験を実施し、安全性・免疫原性の他にその有効性も確認した。一方、抗SE36抗体の誘導とマラリア抵抗性との間には個人差が認められた。一般にこのような個人差が生じる原因の一つとして遺伝的バックグラウンドの差異が知られている。前年度はT細胞表面に存在する抗原提示分子であるヒト白血球抗原(HLA)の多型性と抗SE36抗体の誘導能、およびマラリア抵抗性との関係について検討した。 これまでに、IgGのレセプターとして知られるFcgレセプター中でも、FcgRIIa中の131番目のHis/Asn変異、FcgRIIIa中の176番目のPhe/Val変異がIgGとの結合力に影響し、マラリア感染に対する感受性・抵抗性への関与が報告されている。そこで今年度は、これらの変異とマラリア感染に対する感受性・抵抗性の関係を明らかにした。さらに、Fcgレセプター遺伝子群の中でも特にFcgRII、FcgRIIIはゲノム上にタンデムにコードされており、この領域は遺伝子の重複や欠失が起こりやすく、対となる2アリルのみならず、1、3、4アレルなどとコピー数にバラツキがある(コピー数変異)。このコピー数変異がマラリア抵抗性に関与していることが報告されており(Niederer et al. 2010)、本研究において、コピー数変異とマラリア感染に対する感受性・抵抗性との関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、132人分のFcgRIIa中の131番目のHis/Asn変異、FcgRIIIa中の176番目のPhe/Val変異を同定した。さらに、これらの領域のコピー数変異を同定した。これらの結果を踏まえ、マラリア抵抗性との関係について統計解析を行ったので。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、HLAと抗SE36抗体の誘導能、マラリア抵抗性との関係、Fcレセプターの一塩基変異、コピー数変異とマラリア抵抗性との関係について、詳細な統計解析を行う。さらにIgGの変異の探索を行う。
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