研究課題/領域番号 |
25460755
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
福田 吉治 山口大学, 医学部, 教授 (60252029)
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研究分担者 |
林 辰美 九州栄養福祉大学, 食物栄養学部, 教授 (40149646)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 行動経済学 / 健康増進 / 健康格差 / 健康の社会的決定要因 / 行動科学 |
研究実績の概要 |
本研究は、行動経済学を健康増進・疾病予防に応用するための基礎研究として、(1)欧米での行動経済学研究の知見は日本人にもあてはまるか、(2)行動経済学理論に基づくプログラムは、通常のものよりも効果があるか、(3)行動経済学に基づく意思決定は社会経済的要因等の個人属性により異なるか、を明らかにすることを目的とした。 まず、平成26年度は、平成25年度に実施した山口県に在住する30~59歳の1200人を対象にした郵送調査の解析を行った。その結果、健康メッセージの効果の認識が、年齢、性別、ならびに社会経済的要因によって異なることが明らかになった。また、好みの食べ物は年齢と性別とは関係したが、社会経済的要因との関連はほとんどなかった。これらの結果については、学会発表ならびに論文発表を行った。 さらに、平成26年度は、日本人を対象にした行動経済学の実証研究として、(1)野菜の絵入り皿は野菜摂取を促進するか、(2)ブッフェスタイルの食事で、食べ物の順番は摂取量に影響するか、(3)特定保健用食品(トクホ)は、食事摂取量に影響するか、を検証する実験研究を行った。(1)では、大分県の小学生約30名を対象にブッフェ方式の昼食会を開催し、無地の皿を使った場合と野菜の絵入りの皿を使った場合で摂取量を比較した。(2)では、医学部保健学科の学生約100名を2群に無作為割付し、野菜料理先行と肉料理先行とブッフェ方式の昼食会を開催し、両群で料理品目別の摂取量等を比較した。(3)では、医学部の学生約100名を2群(トクホ茶を配布した群と普通茶を配布した群)に無作為割付し、両群での食事摂取量を比較した。 また、次年度実施予定の行動経済学的介入研究の準備としての先行研究のレビュー、3年間のまとめとしての学会・論文発表、テキストの作成の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた欧米の先行研究を日本人で検証する調査が実施できた。昨年度行った調査についても分析とまとめが進み、結果の一部は論文発表ならびに論文投稿を行った。平成27年度の調査および3年間のまとめについての準備も進めており、ほぼ計画通りに研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画に沿って、平成25年度および平成26年度に実施した調査の分析と論文・学会等での発表の実施を予定している。平成27年度には、行動経済学的方法による介入研究ならびに行動経済学の視点から健康増進等のあり方についてのレビューを実施し、3年間のまとめとして、学会・論文発表、テキスト作成を行う予定である。
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