研究課題
1.2007-8年健診受診者を対象に、心血管病(脳卒中、虚血性心疾患)の発症、死亡を追跡した。予後調査は、調査の同意を得た上で、以下の方法でおこなった。①対象者を健診し、循環器疾患の罹患が疑われる者を抽出した。②健診未受診者全員にアンケートを送り、循環器疾患の罹患の有無を調査した。③追跡ネットワークを用いて循環器疾患の罹患をモニターした。④循環器疾患の罹患が疑われる者については、往診し、病歴・診察所見・検査所見など臨床情報を収集した。⑤死亡例については、臨床情報を収集し病理解剖の承諾を得るように努めた。⑥解剖承諾例については九州大学大学院病理学教室で解剖し死因および臓器病変を調査した。⑦定期的に研究スタッフの会議を開き循環器疾患罹患および死因の最終診断を討議し決定した。2.追跡調査の一環として、平成26年に生活習慣病予防健診を行った。健診項目は以下の項目である。問診、身体計測、血圧測定、医師による診察、検尿、血計、血液生化学、HbA1c、心電図、胸写、眼底、食事調査。3.2013年に実施した頸動脈エコーの画像を用いて総頸動脈長軸像における内膜中膜複合体厚(IMT)を自動計測した。4. 2007-8年に実施した家庭血圧測定を含む断面調査の結果から、一般住民における随時血圧、家庭血圧および中心血圧と頸動脈病変との関連を検討した。朝の家庭血圧を3日以上測定し、中心血圧と頸動脈エコー検査をうけた40歳以上の住民2835名を本研究の対象とした。血圧レベルの上昇とともに平均IMT、最大IMTは厚くなった。収縮期血圧10mmHg上昇ごとの最大IMT>1mmとなるオッズ比(性・年齢調整)は、随時血圧では1.11、家庭血圧では1.19、中心血圧では1.09であった。これらの関係は、多変量調整後も変わらなかった。随時血圧、家庭血圧、中心血圧いずれの血圧上昇も頸動脈硬化進行と関連していたが、特に家庭血圧と頸動脈硬化との関連が強かった。
2: おおむね順調に進展している
予後調査は順調に進行している。追跡の一環として2014年に生活習慣病健診を実施した。また2013年に実施した頸動脈エコーの画像を用いて総頚動脈長軸像における内膜中膜複合体厚を自動計測した。
①追跡調査を続行する。②2007-8年、2012-13年に実施した頸動脈エコーのデータを用いて5年間の頸動脈硬化の進行度を解析する。また5年間の新たな狭窄の出現を検討する。③2007-8年に測定した随時血圧および家庭血圧が、頸動脈の動脈硬化病変の進行の予測因子となるかを前述した統計解析方法で検討する。④2007-8年に測定した随時血圧および家庭血圧が、心血管病の発症、死亡に関しての予測因子となるかを前述した統計解析方法で検討する。⑤研究成果は、国内学会、国際学会で報告するとともに、英文誌に投稿する。また久山町住民のみならずわが国国民に対して、マスメディアおよび公開講座を通じて情報を発信する。
研究発表のための費用と、論文発表のための費用を次年度に回した。
主として下記のような研究経費が必要と予測される。1.追跡調査の費用。①生活習慣病健診を実施する費用。②健診未受診者および転出者について生存を確認する費用。③心血管病の発症調査を実施する費用。④剖検をおこなうための費用。2.統計解析を行うための、コンピュータおよびそれに関連した消耗品の費用。3.結果を公表するための学会参加費用、英文雑誌への投稿費用。
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