研究課題
基盤研究(C)
平成25年度は、主に、①遺伝子修復酵素(OGG1)の遺伝子のプロモーター領域(CpG island)のメチル化解析方法(パイロシーケンス法)の確立、②追跡調査データベースの構築および尿中の遺伝子損傷マーカー(8OHdG)と強度別身体活動量の関連についての予備解析を実施した。①については、DNAのメチル化解析の最初のステップとして先ずバイファルサイト処理を行うが(DNAを 化学的に処理し、メチル化の有無を塩基の配列の違いに変更する実験手法)、予備実験を繰り返した結果、この処理に250ng以上の量の末梢血DNAを 使用すれば、OGG1遺伝子プロモーター部位の3つのDNA領域(1DNA領域あたり5-6つのCpGを含む)のメチル化レベルを正確に評価することが可能となった。すなわち、メチル化 率が既知のコントロールDNAサンプル(0%, 25%, 50%, 75%, 100%)を用いてOGG1遺 伝子プロモーター領域のメチル化レベルを、最適化された方法で測定した結果、コントロールDNAサ ンプルのメチル化率と実際に測定されたメチル化率の関係は直線的でありかつ非常に高い相関が得られた(r2>0.99)。②については、加速度計(ライフコーダー)を10日間装着し、かつ10日のうちの最初の3日間を除外した7日間のうち微小運動以外の活動が8時間/日以上の装着が確認されたデータのうち、尿中の8OHdG測定の終了した約2000人のデータを解析した。身体活動量(メッツ・時)は、強度別(低強度:1.8メッツ以上、中強度:3.6メッツ以上、高強度:6.1メッツ以上)にメッツに時間をかけて算出し、クレアチニンで補正した8OHdGとの関連を検討したところ、男性において高強度の身体活動では活動量が多いほど8OHdGが低く、有意な負の関連がみられた。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画どおり、OGG1遺伝子プロモーター領域のメチル化解析のセットアップが終了したから。
これまでに確立したOGG1遺 伝子プロモーター領域のメチル化解析手法を用いて、先ず、ベースライン調査の500 検体 のOGG1遺伝子のメチル化解析を行う。500 検体のメチル化 測定終了後、予備的な統計解析を実施し、その解析結果に基づいてDNAサンプルの メチル化解析を今後どのように進めるか検討する。また、8OHdGとの関連および、遺伝子多型の影響について検討を進める。
予定していたよりも少ない費用でOGG1遺伝子のメチル化解析手法の確立が終了したから。OGG1遺伝子のメチル化解析を行うサンプル数の追加等に使用する。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)
J Epidemiol
巻: 未定 ページ: 未定
Preventive Medicine
International Journal of Behavioral Medicine
10.1007/s12529-013-9341-y
http://www.prevent.med.saga-u.ac.jp/index.html