研究課題/領域番号 |
25460759
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
原 めぐみ 佐賀大学, 医学部, 講師 (90336115)
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研究分担者 |
田中 恵太郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (50217022)
西田 裕一郎 佐賀大学, 医学部, 講師 (50530185)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遺伝子修復酵素 / メチル化 / がん / 身体活動 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、パイロシーケンス法を用いて、末梢血DNAの遺伝子修復酵素(OGG1)の遺伝子のプロモーター領域(CpG island)のメチル化状態を測定し、加齢による変化、がん罹患との関連、身体活動レベルとの関連について検討した。 OGG1プロモーター領域には2つのCpGサイトが存在するが、今回は、転写開始部位に近い2つ目のCpGサイトに存在する9つのCpG部位のメチル化を測定し、ベースライン調査時点の2295検体(そのうち576検体は平成26年度中に測定)に加え、5年後調査の2295検体についても測定を完了した。 OGG1遺伝子のプロモーター領域の9か所のCpGの平均メチル化割合は1.1%~5.4%であった。9つのCpG部位のうち、最もメチル化割合の高かった5番目の部位の平均メチル化割合について示すと、年齢階級(40歳代、50歳代、60歳代)別の横断的検討では、ベースライン時点ではそれぞれ4.9%、5.0%、5.4%、5年後調査時点ではそれぞれ4.5%、4.6%、4.6%と、両時点共に年齢階級による有意な差は認めなかった。一方、経年変化をみると、いずれ年齢階級も、5年後のメチル化割合が有意に低かった。また、このメチル化割合が経年で低下する関連は5年間にがんに罹患した人では認めなかった。 さらに、ベースライン時点の情報を用いて、この部位のメチル化割合と身体活動レベルとの関連を検討したところ、身体活動レベルが低いほどメチル化割合は低く、5年間にがんに罹患した人を除いた検討でも同様の結果であった。 以上より、遺伝子修復酵素のプロモーター部位のメチル化割合は低く保たれているが、さらに加齢や低い身体活動レベルと低メチル化状態が関連することから、遺伝子損傷の修復を必要とする状態では脱メチル化が進む可能性が示唆された。一方、がん罹患者では、このような傾向が見られないとから、遺伝子修復酵素のプロモーター領域の脱メチル化が起こりにくいと、がん罹患リスクが高まる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、パイロシーケンスの機械の故障のため、測定が大幅に遅れてしまったが、本年度中に予定していた測定は終了し、データ解析も進めている。しかし、学会発表にとどまっており、論文発表がまだである。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度中に論文執筆、投稿まで進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、測定機器の不具合が生じ、測定が大幅に遅れてしまったため、研究成果の発表が研究予定期間内に終わらなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表、論文執筆の際の英文校正、論文投稿料、別刷り代として使用する。
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