研究実績の概要 |
鹿児島県内で2014年末までに鹿児島大学附属病院および関連病院にて診断・治療を受けた乳がん患者223名とがん検診目的で外来を受診した349名のコントロール群について、面接調査で得た喫煙歴と乳がんリスクとの関連を検討した。 ロジスティック回帰分析を行った結果、喫煙者の乳がんリスクは閉経の有無にかかわらず、有意に高くなっていた。年齢、BMI、出産の有無、運動、野菜の摂取などの要因を調整したオッズ比は、閉経前の現在喫煙者では3.1(95%信頼区間:1.3, 7.8)、閉経後女性では4.2(95%信頼区間:1.5, 12)であった。さらに5年以内の禁煙者も含めると、閉経前は3.5(95%信頼区間1.5, 7.8)、閉経後は3.3(95%信頼区間:1.3, 8.5)であった。さらに閉経前女性では喫煙本数とともに乳がんリスクが高くなる傾向を認めた(傾向性のP値=0.021)が、閉経後女性では確認できなかった。喫煙開始年齢については、閉経前女性では18歳未満で吸い始めた女性ではオッズ比が7.8(95%信頼区間:2.0, 31)とリスクが高くなっていたが、閉経後女性ではそのような傾向はなかった。 一方、非喫煙女性に限定し受動喫煙と乳がんリスクを検討した結果、閉経後女性では有意に高いリスクの増加(オッズ比:2.9, 95%信頼区間:1.5, 5.8)を認めたが、閉経前女性では増加傾向は見られなかった(オッズ比:1.1, 95%信頼区間:0.5, 2.7)。
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