研究概要 |
中国側の研究者協力者である孫全富部長(Department of Radiation Risk Assessment, National Institute of Radiation Protection, China)は、本研究の申請者である秋葉の指導の下に、四川省の高度が1000m, 1400m, 3000m 4100mの村でそれぞれ100人程度を対象に質問票による調査を行った。性・年齢を調整しても飛蚊症を訴える者の割合が、4100mの村では、1000m、1400mの村に比べて2倍程度多いことを見出した。 2013年に、主任研究者(秋葉)は中国の共同研究者とともに四川省の紅原(高度3500m前後)と九寨溝(高度が1200-1700m)で40歳以上の男女を対象に調査を行った。眼科医による細隙灯を用いた検査で、紅原で55人、九寨溝で57人からデータが得られた。水晶体混濁は紅原の男性で9% (2/22)、女性で20%(7/35)、九寨溝の男性で35%(7/20)、女性で40%(14/35)と、九寨溝で顕著に頻度が高かった。性と年齢を調整して統計学的検定を行ったところ、両地域の水晶混濁の頻度の差は有意(P<0.05)であった。紅原の宇宙線(中性子成分)の線量は、九寨溝のほぼ2倍であった。最終年度は、中国側の共同研究者とともに他の要因も考えながら、水晶体混濁と放射線被ばく(宇宙線)との関連を検討する。
|