研究課題
献血者データでHTLV-1 キャリアの高分布地域である石垣島をベースにして住民1,139名を対象にHTLV-1 キャリア調査を行った。そして石垣島、宮古島出身者のキャリア割合が約4%であることを明らかにした(47 回Asia-Pacific Academic Consortium for Public Health 口演発表)。HTLV-1キャリアのプロウイルスDNA定量(PVL)を行い、ATL進展のリスク因子の一つである100細胞中4コピー以上のキャリアが39例中14例存在することを明らかにした。またキャリア、非キャリアの血清を用いて網羅的抗寄生虫抗体の陽性割合を調べたところ、HTLV-1キャリアは抗寄生虫抗体陽性割合が高く、しかも最大6種類をはじめ、複数の抗寄生虫抗体を有していることが判明した。抗寄生虫抗体の中で特に保有者が多かった高糞線虫抗体、および抗トキソプラズマ抗体の陽性割合についてキャリアと非キャリア間で比較したところ、抗糞線虫抗体は非キャリアに比べキャリアが有意に陽性割合が高いことが分かった。一方抗トキソプラズマ抗体については有意差はみられなかった。HTLV-1サブタイプについてPCR法を用いて調査を行ったところ、本土で90%を占めるTax B (Japanese type)が、沖縄県全体ではTax Bが60%で南米タイプであるTax Aが40%を占め、分布に差があることが判明した。さらに島ごとに調べたところ石垣島はTax Aが約70%を占めていた。このように沖縄県HTLV-1 キャリアコホートの基盤が構築され、沖縄県HTLV-1キャリアの特徴を明らかにした。コホートは現在も拡大しており、島嶼部を含めた沖縄全土に拡がるATL/HTLV-1研究ネットワークそして細胞バンキングシステムが構築された。
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