研究課題/領域番号 |
25460768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
大西 浩文 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20359996)
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研究分担者 |
森 満 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50175634)
斉藤 重幸 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (60253994)
三浦 哲嗣 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90199951)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 特定健診・特定保健指導 / 生活習慣病罹患ハイリスク者 / 決定木分析 / 地域一般住民コホート |
研究概要 |
本研究は、継続中の地域一般住民コホート研究のデータを用い、断面および縦断的検討により、健診結果に基づいてClassification and Regression Tree (CART)という決定木アルゴリズムを応用することで積極的な介入が必要と考えられる高血圧や糖尿病などの生活習慣病および虚血性心疾患や脳卒中などの動脈硬化性疾患の罹患に対するハイリスク者の抽出効率を改善することが可能となるかを検討することを目的としている。平成25年度はこれまで蓄積している健診データを用いて、将来の高血圧罹患者を効率良く予測するモデルについてCART法を用いて検討した。1994年の健診受診者を2007年まで追跡したデータベースを用いたこれまでの検討で、加齢、肥満、高血圧家族歴、空腹時血糖高値、γ-GTP高値が高血圧罹患の危険因子となることが確認できた。年齢≧50歳、Body mass index (BMI)≧25、高血圧家族歴あり、空腹時血糖値≧100mg/dl、γ-GTPが男性≧25IU/L、女性≧16IU/Lの保有数が多い対象ほど将来の高血圧罹患リスクが高いことも確認できた。よってこれらの5項目に正常高値血圧(収縮期血圧130-139mmHgかつまたは拡張期血圧85-89mmg)を加えて、将来の高血圧罹患者を判別するCART法によるモデルの作成を行った。年齢、50歳以上、正常高値の有無、γ-GTP高値、血糖値高値の順で分けることにより、将来の高血圧罹患者を感度68.2%、特異度71.1%で判別できることが確認できた。またこうした縦断的な検討を行う上では対象者を前向きに追跡してイベント発生を確認していく必要があり、本年度も過去受診者の生活習慣病罹患状況についてのアンケート調査も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、継続中の地域一般住民コホート研究のデータを用い、断面および縦断的検討により、特定健診・特定保健指導においては情報提供レベルにとどまる肥満非該当者においても、通常の健診項目の組み合わせや炎症性マーカーやアディポサイトカイン、酸化ストレスマーカーなどの新しいリスクマーカーを組み合わせ、さらにClassification and Regression Tree (CART)という決定木アルゴリズムを応用することで積極的な介入が必要と考えられる高血圧や糖尿病などの生活習慣病および虚血性心疾患や脳卒中などの動脈硬化性疾患の罹患に対するハイリスク者の抽出効率を改善することが可能となるかを検討することが最終目的となる。本年度はまず、これまでに蓄積した前向き追跡データに基づいて高血圧罹患危険因子を同定し、その項目を使用してCART法による高血圧罹患ハイリスク者を判別する決定木を作成することが可能であった。よって、同様の手法を用いて糖尿病や心血管疾患罹患についても決定木を作成することが可能であることが確認できた。ただ、どのような項目を選択することにより、より効果的な決定木を作成できるかの検討や他のベースラインに当てはめた場合の効率についても検討を行う必要があり、次年度以降の検討課題である。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究体制で予定通り研究が進んでいることから、引き続き現体制で研究を進めていく。また過去のデータベースに加えて新規健診データを加えたデータベースの更新や過去の受診者に対するイベント発生の有無について引き続きアンケート調査にて確認していく。決定木モデルの効率化について、枝分かれに用いる危険因子項目を複数変化させること、他のベースラインに当てはめた場合の検討なども行う予定である。また平成25年度は高血圧罹患を対象としたが、今後は糖尿病や心血管疾患など他の生活習慣病を対象とした決定木モデルの作成についても検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はアンケート調査による過去受診者の生活習慣病罹患イベント発生確認を重点的に行ったことで、通常高額が見込まれる血液検査測定委託費としての使用を抑えたことにより、次年度使用額が生じた。ただし、次年度は平成25年度以上の検査委託費としての使用が見込まれている。 本研究では特定健診受診者を対象とした検討を行っており、通常の健診では測定しないアディポサイトカインや炎症マーカーの測定も行っていることから検査委託費が必要になること、また過去の健診受診者を前向きに追跡していくことで生活習慣病罹患というイベント発生を確認していることから、イベント罹患について郵送によるアンケートでの確認を行う必要があること、また健診データの整理・構築やアンケート発送作業などのために人件費も要するため、人件費、通信費、検査測定委託費、学会参加旅費等として使用する予定である。
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