研究課題/領域番号 |
25460770
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
斉藤 重幸 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (60253994)
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研究分担者 |
大西 浩文 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20359996)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 心血管疾患 / 住民健診 / 経年的変化 / インスリン抵抗性 / 血圧 / ランダム係数モデル |
研究概要 |
平成25年度は当初計画通りに北海道農村部において住民健診を実施して、糖尿病と循環器疾患発症に関するリスクファクター要因の検査成績を収集し、予後調査を継続した。これらデータは既存の過去最大35年に渡るデータと統合した。この作業は平成26年度以降も継続する。 平成25年度は糖尿病の発症要因であるインスリン抵抗性に注目し、インスリン抵抗性の大小による血圧値の経年的変化を検討した。インスリン抵抗性を有する対象においては、将来の高血圧発症のリスクが有意に高いことが報告されている。しかしインスリン抵抗性が経時的血圧変化にどのように関連するかについては、報告されていない。そこで 1991年及び1992年に端野・壮瞥の住民検診で75gOGTTを測定した1578名を対象とし、その後対象が受診した検診データからランダム係数モデルを用いて解析した。インスリン抵抗は75gOGTT の結果からMatsuda-DeFronzo Indexにより求め、3分位に分類した。 ランダム係数モデルでは対象の経時的に反復測定した血圧値を従属変数とし、説明因子を時間とし、インスリン抵抗性の3分位との相互作用を見た。時間と血圧の関係式として、5つデルの検討を行い、モデルの赤池情報量基準を算出し、最も適合度の高いモデルを採用した。 以上の検討の結果、ベースラインでのインスリン抵抗性の3分位間で、その後の経時的な血圧変動に相違があった。インスリン抵抗性最大群で、ベースラインでの収縮期血圧が有意に高く、その後の収縮期血圧の上昇がインスリン抵抗性最大群・中間群で継時的に観察されたが、インスリン抵抗性最小群において、収縮期血圧は継時的増加を示さなかった。 ベースラインでのインスリン抵抗性は、その後の経時的血圧変動の規定因子となっており、インスリン抵抗性が、直接または何らかの因子を介して経時的な血圧変動に影響している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の予定通り健診活動は実施しているが、糖尿病発症、心血管疾患発症者登録も実施したが、心血管疾患発症の各診療機関へのアンケート調査による確認作業に一部遅れがある。26年度以降確認作業を徹底する必要がある。また平成25年度は糖尿病発症要因として検討予定の高感度CRP、酸化ストレスマカーなどの測定の一部が実施できず平成26年度に測定を延期している。いずれも平成26年度に実施可能である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も当初計画通りに北海道農村部において住民健診を実施して、糖尿病と循環器疾患発症に関するリスクファクター要因の検査成績を収集する。これらの健診データを既存の過去最大36年に渡るデータと統合し、リスクファクターの経年的変化を検討するリレイショナルデータベースを構築する。この作業は平成27年度以降も継続する。 また、これまでの住民健診受診者の予後調査を継続し、糖尿病、心疾患、脳血管疾患発症の登録を整備した。経年的変化と疾患発症を統合することにより当初目的のリスクファクターの経年変化と糖尿病、心血管疾患発症の関連を解析する。平成26年度は脳血管疾患発症におけるリスクファクターの経年的変化の影響を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究当初予定していた、糖尿病関連因子である、インスリン測定、高感度CRP測定、酸化マーカー測定などが実施されず、測定用人件費などが使用できず研究計画とに差異が生じた。 平成26年度に糖尿病関連因子である、インスリン測定、高感度CRP測定、酸化マーカー測定などの測定を実施する予定であり、平成25年度残余助成金の使用を行う予定である。
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