研究課題/領域番号 |
25460774
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
岡 檀 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (10649247)
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研究分担者 |
有田 幹雄 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (40168018)
山内 慶太 慶應義塾大学, 看護学部, 教授 (60255552)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自殺 / 自殺予防因子 / コミュニティ |
研究概要 |
本研究は、自殺に影響する様々な社会的要因のうち、人の生活基盤であるコミュニティの特性に着目し、特に自殺「希少」地域における自殺予防因子を明らかにすることで、自殺予防対策への示唆を得ようとするものである。自殺「希少」地域と自殺「多発」地域を対象に詳細なフィールド調査を行い、自殺の危険を抑制する要素(=自殺予防因子)、危険を高める要素(=自殺危険因子)の抽出を目指す。 自殺対策を検討する際、47都道府県別の自殺統計が参照されることが多いが、同一の自治体内で自殺率の大きな地域差が生じている場合がある。青森県、京都府、奈良県、和歌山県、徳島県の1府4県について、過去30年間の市区町村別自殺統計を基に自殺率の地域差を明らかにした。また、GIS(Geographic Information System、地理情報システム)を用いて、地域差の視覚化を行って、関係者間で情報を共有化した。 その結果、比較的自殺率が低いとされている近畿の府県や四国の徳島県において、自殺率の地域差が見られた。特に徳島県では、全国における「自殺“最”希少地域」のひとつと「自殺“最”多発地域」のひとつが混在していた。他方、高自殺率である青森県では、自殺率の高い市町村が東部に集中し、最も自殺率の高い町と低い町との間に大きな格差があることが明らかとなった。市町村の約4分の1は自殺率全国平均値を下回っており、残る4分の3が県の自殺率を上昇させていた。 このような自殺率の地域差を生じさせる要因を探ることを目的に、現地でフィールド調査、質問紙調査などを進めている。青森県の自殺希少地域、旧平舘村と近隣町村を対象とした質問紙調査の結果、同村は周辺町村に比べ、悩みを相談したり助けを求めたりすることへの抵抗が小さいという傾向が見られた。その背景因子として、同村住民の偏見の小ささが援助希求を促している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年までに先行していた徳島の自殺希少地域での調査結果をふまえ、その他の自殺希少地域の調査を青森、京都、奈良、和歌山において進めながら、それら自殺希少地域に共通する自殺予防因子(=自殺の危険を緩和する因子)の抽出を試みている。 これまでのところ、いずれの自殺希少地域も、周辺地域に比べ悩みを相談したり助けを求めたりすることへの抵抗が小さいという傾向が明らかとなっている。自殺予防因子の解明に向けて、さらに調査と分析を継続する。
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今後の研究の推進方策 |
京都、奈良、和歌山でのフィールド調査、質問紙調査、その解析などをさらに進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度のため、研究準備段階のため使用する頻度が少なかったため。 次年度は、質問紙調査の解析作業や、解析結果の視覚化作業に充てる予定である。
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