研究実績の概要 |
小山地区の併用検診は順調に4年目に入り継続して行うことが出来ている。また検診結果の集積も予定通り行われている。総受診者数は2012年度から2014年度(2015.3まで)までの3年間で21,615人に達した。受診者数は、2012年度11,582人に対し、2013年度5,579人、2014年度4,729人と、減少しているが、これは本検診では細胞診、HPV検査両方の結果が陰性(double-negative)の受診者は3年後の受診となるためであり、予定通りの推移である。初回受診者の分析をおこなったが、2012-2014年度でそれぞれ4,419人、3,924人、4,079人と安定して受診者が得られている。また年齢別では20代、30代の初回受診者に増加傾向が認められた。 本年度は細胞診、HPV検査両方の結果が陰性(double-negative)の受診者が3年後再診で受診する年度にあたり、この群の結果を解析した。初年度double-negative10,554人中、解析できたのは3年後受診者4,099人(38.8%)であった。この群から要精検者は42人(1.0%)であり、現時点でCIN1が5人、腺異形成1人と高度病変は見つかっていない。本結果より、細胞診、HPV検査両方の結果が陰性(double-negative)は少なくとも3年間隔の受診で問題ないと思われ、今後の検診間隔を決定する上で重要な結果となった。 同地区において、検診受診率を上げる施策も検討した。受診勧奨はがきを数種類作成し、種類別の受診率測定をおこなった。年初勧奨にて検診未受診の20-39歳の1,912名をランダムに3群に分け、受診再勧奨を行う前向きのRCTを行った。この結果、受診の利益、不利益を勧奨はがきに掲載しても受診率を下げることが無いことを論文として発表した(Fujiwara H et al. Arch Public Health. 2015 )。加えて、social-normやloss-framedメッセージを与えた場合の受診率変化も検討しており、gain-framedメッセージに対して、loss-framedメッセージだけ効果が低いことを見出した。こちらも論文作成中である。
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