研究課題/領域番号 |
25460777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
植田 育子 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (80571398)
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研究分担者 |
香坂 俊 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (30528659)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 急性心筋梗塞 / データベース / クリニカルリサーチコーディネーター |
研究概要 |
本研究はすでに先行して実施されているJCD-PCI研究のデータベースを基に実施される計画であった。本研究参加施設からは既に倫理委員会の承認を得ており既に症例登録が開始されていたが、まだ目標症例数までには達していない状況であり、25年度は継続して登録を行うこととした。 また今回、データ収集担当者にクリニカルリサーチコーディネーターを採用し、各参加施設のデータ収集を担当することとした。そのため、クリニカルリサーチコーディネーターの教育・研修をセミナー形式で大学にて年に2回開催した。本セミナーの目的は、循環器疾患に関する医学知識の習得並びに臨床研究に関わるコーディネーター力を養うことである。 このような体制で登録を進め平成26年3月の日本循環器学会においては学会発表やシンポジウムにて発表の機会を得ることが出来た。このような発表の場は、コーディネーター教育の一環としても重要であると考えられ大変貴重な機会を得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
急性心筋梗塞の発症から治療を受けるまでの時間が遅延する因子の同定を行うことが本課題の最終目的である。本目的を遂行するためにはその基になるデータベースの規模をさらに拡大する必要がある。そこで、25年度は研修を受けたクリニカルリサーチコーディネーターを活かし、登録数の増加に務めた。 さらに本研究では発症から再灌流療法までに要する時間が12時間以内であった心筋梗塞患者と比較する解析計画であるが、それが実現可能か否か単施設でのデータを用い検証的予備試験を行った。本課題の該当集団となる急性心筋梗塞発症12時間以降に経皮的冠動脈形成術(PCI)治療を施行した患者と急性冠症候群に分類される疾患のうちどの集団が比較対象集団として適切か否か検討した。急性冠症候群である不安定狭心症、ST上昇型急性心筋梗塞発症12時間以内、非ST上昇型急性心筋梗塞と急性心筋梗塞発症12時間以降にPCI治療した患者集団とを比較し、主に年齢、性別、既往歴における患者背景の差異について検討した。その結果から、ST上昇型急性心筋梗塞発症12時間以内の集団を対象群いわゆるコントロール群として、本課題を遂行することが適切であると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本課題の最終目的である急性心筋梗塞発症からPCI治療を受けるまでの時間が遅延する因子を同定可能となるよう、JCD-PCI研究のデータベースに不足している調査項目を追加してく必要がある。これにより遅延するリスク因子を明確にすることが可能となる。 また、26年度はコーディネーターによるデータ収集の継続とデータの信頼性を確保するためにデータクリーニングを積極的に進めていく計画である。 そして、最終年度には解析ができるようにデータベースの精度を確保すること並びに質の維持を目標とし今年度は研究を遂行していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はクリニカルリサーチコーディネーターの教育に重点を置いたため、データベースの構築まで計画を進めることができず、当初の計画より使用額が少なくなってしまった。また今回発表の機会を得た日本循環器学会は2014年3月下旬に東京での開催であったため、25年度の出張費として申請することができなかった。 しかしながら、今年26年度は本研究に必要な項目を既存のデータベースに追加するため前年度に比し多額の予算が必要となる。さらにこのデータベースは専用のWebを使用し入力ミスや重複登録を防止するための機能をも付した設計がなされているが、その維持費も捻出する必要がある。 データ収集を担当するクリニカルリサーチコーディネーターは、オリジナルで作成したデータベースの使い方、本研究に関する調査項目の定義確認、データ入力の規則について、セミナーを通年継続的に行うことが本研究の質を維持するためには必須である。そのセミナー開催費用も必要となる。このようなセミナーを通してデータ収集期間中もデータ入力に関する問題事例を把握し、その改善策を研究運営組織からコーディネーターに定期的に発信していくことを可能とし、そのための予算が必要となる。
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