研究課題
本研究の対象者は、研究代表者が参画している高血圧・脂質異常症・糖尿病の治療歴及び新結果疾患の既往がない神戸市一般住民を対象としたコホート研究『神戸トライアル』(主体:先端医療振興財団)の研究参加者1134名である。平成27年3月現在、コホート研究のベースライン調査及び第1回の追跡調査が終了し、91%と高い追跡率を維持している。平成26年度は上記の対象者に対して自己抗体・生活習慣・関連臨床検査値との横断的な関連を平成25年度に引き続き評価するとともに、関連研究として、LDL-コレステロールの中でも血管内皮の傷害に強く関わることが知られているLOX-1 系変性 LDLの指標であるsLOX-1・LABと比較的早期の動脈硬化を反映すると考えられている血管の硬さの指標・血圧脈派(CAVI)との関連を評価し、特に男性においてLABが高いほど血管が硬く、その関連はLDLコレステロールや自己抗体も関わると考えられる炎症反応指標(高感度CRP)の影響を加味しても認められたため、LABは早期の動脈硬化の進展を予測するマーカーとして有用である可能性が示唆されるという要旨の学術論文をJournal of Atherosclerosis and Thrombosisに掲載した。また、上記の研究に加え、平成26年度に行われた神戸トライアルの追跡調査にも平成25年度と同様に研究内容説明・問診確認等の役割で参画した。
2: おおむね順調に進展している
『神戸トライアル』ベースライン調査時に測定した自己抗体(抗核抗体・リウマトイド因子)や高感度CRPなどの関連する各種臨床検査値および血圧脈派などの生理検査との比較検討は概ね順調に進行しており、学術論文も1本報告することができた。また、1回目の追跡調査における追跡率も91%と高く、コホート研究の追跡率としては十分と考えられる。一方、測定を予定していた抗CCP抗体については、保存血清の残量の問題から、他の研究課題の測定項目と併せて測定することが望ましいこと、項目測定の優先順位を第1回目の追跡調査のデータが固定されてから行うことが『神戸トライアル』研究組織全体の方針であることから、今年度の測定は見送った。以上より、本研究の進行度は「(2)おおむね順調に進展している」とした。
平成27年3月末にて第1回めの追跡調査のデータが固定されたため、今後はベースライン時のデータだけでなく、追跡データを用いた高血圧・糖尿病・脂質異常症の発症などをエンドポイントとした縦断的な解析も行っていく予定である。また、平成26年度に引き続き、現地での第2回目の追跡調査も順次行う予定である。
検体残量に限りがあるため、他の研究の測定項目と併せて測定する必要があるため、抗CCP抗体の測定を今年度は見送ったため。
平成27年度上半期に抗CCP抗体を測定する予定である。
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J Atheroscler Thromb
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PMID: 25374294
J Nutr Health Aging.
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