研究課題
本研究の対象者は、研究代表者が参画している高血圧・脂質異常症・糖尿病の治療歴及び心血管疾患の既往がない神戸市一般住民を対象としたコホート研究の研究参加者1134名である。平成28年3月現在、コホート研究のベースライン調査及び第1回・第2回の追跡調査が終了し、87%と高い追跡率を維持している。平成27年度は平成25~26年度に行われた第1回の追跡調査にて得られた保存血清を用いて、関節リウマチに特異的な自己抗体であり、また特にリウマチ患者の心血管疾患イベントの新たなマーカーの一つと考えられている抗CCP抗体の一般集団における陽性率および第1回追跡調査にて確認された治療が必要な高血圧・脂質異常症・糖尿病および骨粗鬆症との関連を評価した。第1回追跡調査にて検体を入手できた1013名(男性307名・女性706名)のうち、試薬の基準値4.5U/mLをカットオフとした場合の陽性者は男性2名(0.9%)、女性7名(0.7%)であった。一般集団において抗CCP抗体の陽性率を評価した研究はほぼ皆無であり、貴重なデータといえる。また、第1回追跡調査においては高血圧・脂質異常症・糖尿病・骨粗鬆症といった生活習慣病と抗CCP抗体価の間には有意な関連性は見られなかったが、前述のカットオフ値はあくまで関節リウマチの診断を目的とした値であり、男性の97%・女性の95%は測定限界未満の値となっていたことと併せると、今後研究対象者をフォローしていき、生活習慣病新規発症に対する抗CCP抗体のカットオフ値を探索する必要があると考える。また、上記の研究に加え、自己抗体と関連の深いアレルギー疾患の新しい指標であるTARCの一般集団における分布や、第2回追跡調査にて行っている内臓脂肪計を使った内臓脂肪測定の再現性・妥当性の評価を行うとともに、昨年に引き続き神戸トライアルの現地調査に研究説明等の役割で参加した。
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