研究課題
(公財)ルイ・パストゥール医学研究センターのインターフェロン(IFN)-α産生能検査のデータベースを完成させた。5回以上測定実績のある対象者は480名、がん罹患履歴のないほぼ健康な人は355名、途中でがんになった人は34名、がん履歴のある人は231名となった。更にがん履歴者をその後の経緯の追跡できた人を、5年以内に死亡した人(113名)と、5年以上生きた人(91名)を分けたところ、5年生存者は健常人とほぼ同レベルのIFN産生能の平均値を示したが、5年以内になくなった人の平均値は有意に他の2群に比べて低かった。更にその詳細を癌腫別に見たところ、前立腺がんや甲状腺がんでは全て5年以上生存者で有り、IFN産生能の低下も特に認められなかった一方、膵臓・胆管がんではほとんどが5年以内に亡くなっていて、IFN産生能の平均値も低かった。このように、がん患者の予後と免疫機能は相関性が認められた。さらに、平成27年7月に南相馬市で実施した、仮設住宅住民の健康診断にIFN-α産生能検査を組み込み実施した。一般血液検査の結果では、医療にアクセスしている人と同数程度、貧血、糖尿病、腎臓病等で問題を抱えている方がいた。また社会的状態として、男性では伴侶に愚痴を言える、聞ける人のIFN産生能は有意に高く、一方女性ではむしろ低かった。女性では、別居の子どもが愚痴の対象の場合はIFN産生能は有意に低かった。その他、男性では住民会に出てくる人、趣味のある人の方がIFN産生能値が高く、女性では家族数が多い、孫と同居が有意に高い値をしめした。IFN産生能測定することにより一般検診では得られない社会的状況との関係が明らかにされる可能性があり、より細やかな住民支援に有用な情報をもたらすと考えられる。特に今回の結果は、住民支援のあり方を考える上で、男女別に対策を考える必要があることを示している。
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