研究課題/領域番号 |
25460785
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
松田 尚久 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (30508049)
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研究分担者 |
角川 康夫 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (00537889)
大野 康寛 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (50602025)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 便潜血検査免疫法 / 大腸癌 / 大腸腫瘍 |
研究実績の概要 |
本研究の主たる目的は、臨床の立場から便潜血検査免疫法(FIT)による早期・進行大腸癌の部位別・進行度別(ステージおよび壁深達度別)・腫瘍径別・肉眼型別診断感度を多数例にて検討し、現行の大腸癌検診の限界と改善点を明確にすることである。 登録開始から1年間で333例の大腸腫瘍性病変(Advanced neoplasm)の症例集積とFIT測定が完了した。333例の内訳は以下の通りである。10mm以上の腺腫:114例、粘膜内癌:54例、粘膜下層(SM)浸潤癌:48例、進行癌:117例。 FIT2日法による診断感度は、10mm以上の腺腫:45.6%、粘膜内癌:48.1%、粘膜下層(SM)浸潤癌:77.1%、進行癌:91.5%であり、各深達度毎の部位別診断感度は以下の通りであった。10mm以上の腺腫;近位結腸/遠位結腸:34.8%/60.4%、粘膜内癌;近位結腸/遠位結腸:42.3%/53.6%、粘膜下層(SM)浸潤癌;近位結腸/遠位結腸:66.7%/83.3%、進行癌;近位結腸/遠位結腸:81.3%/95.3%。 以上の結果から、FITは大腸癌のスクリーニング法として良好な診断感度を示すものの、その進行度および病変部位により差があり、早期の近位結腸(盲腸~横行結腸)病変に対する診断感度の低下が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例の集積及び解析は順調であり、本データを米国消化器病週間(DDW)にて発表した。現時点で既に過去のFIT研究と比較して最大症例数での検討となっているが、今後も症例を蓄積し、研究期間終了時点でのデータをまとめて英語論文化を図る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本邦にて1992年より大腸がん検診に用いられているFITだが、部位別・進行度別(ステージおよび壁深達度別)・腫瘍径別・肉眼型別診断感度に関する多数例での検討は本研究が初めてである。 今回の中間解析結果から、近位結腸(盲腸~横行結腸)におけるFIT感度の低下が示された。近年、とくに高齢者における近位結腸大腸癌の割合が高まっており、FIT検診に加え全大腸内視鏡検査を1回介入させることが、大腸癌死亡率低下に繋がる可能性が高い。 最終的に400-500例でのデータ解析を行い、英語論文により本研究成果を公表することは、世界的にFIT検診が広まりつつある現状において意義深いことである。 但し、本研究は既知の大腸腫瘍性病変を対象としており、感度分析は可能であるものの特異度についての検討が出来ておらず、今後更なる検証が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定で予算をたてていた試薬等が実際の予算より低く購入が出来ました為
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は総括となりますので論文化に向け、英文校正等に充当予定です。
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