平成26年度に作成した大腸がん個別リスク予測モデルに関する論文をまとめ、平成27年8月にEur J Cancer Prev. 誌にアクセプトされた。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部のHERPACC研究データを用いて日本人の大腸がんリスクに関連する六つの遺伝子多型を同定した。この結果を用いて遺伝要因と環境要因を組み合わせた個別大腸がんリスク予測モデルを作成した。別の研究集団でこのリスク予測モデルのreplication studyを実施したところ、リスク予測モデルの識別力 (c統計量) はやや低下したが、遺伝要因のみのリスク予測に比べて、遺伝要因と環境要因を組み合わせた個別大腸がんリスク予測の優位性が示された。 一方、個別化がん予防実用化に向けての一般向け説明用コンテンツ作成については、平成26年12月に当部で開発した乳がんリスク予測を実施した女性29名(名古屋市在住の40-60歳代の女性が対象)に対して、追跡調査と電話インタビューを行った。調査実施時期は平成27年6月と平成27年1月である。乳がんリスク予測に関する理解度や認知、実際に行動変容をおこしたかを中心に情報収集した。説明用コンテンツについても、研究参加者からの意見をもとに改善点を明らかにした。 平成27年6月の「がん予防学術大会2015さいたま」で、本研究成果を報告した。他施設の研究者と討論し、今後この分野の研究を進めるにあたっての課題を明らかにすることができた。
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